日本貨物鉄道(JR貨物)は7月25日、前日に発生した山陽本線新山口駅構内での脱線事故を受け、脱線した機関車(EF210形)と同型の車両を全車点検するなど、緊急の安全対策を進めていることを発表した。
事故現場で機関車の車軸折損を確認
事故が発生したのは7月24日12時32分頃。
福岡貨物ターミナル駅発東京貨物ターミナル駅行き第2054列車(EF210形機関車1両+コンテナ貨車23両)が新山口駅構内を走行中、運転士が異音を感じ緊急停止。状況を確認したところ、機関車の車輪が脱線していたという。
事故後、国の運輸安全委員会を交えて現場検証した結果、機関車の進行方向1番目の車軸が折損していることが判明。これを受けJR貨物では、事故車と同形の機関車を中心に車軸の点検を開始した。
点検についての概要は以下のとおり。
1.脱線車両と同じ整備箇所で同様に組み立てられた車軸を搭載する車両について、車軸の検査を実施(対象6両/7月24日着手→7月25日完了)
2.同時期に製造されJR貨物に供給された車軸を組み込んだ新製車両について、車軸の検査を実施(対象3両/7月25日着手→7月26日完了見込み)
3. 脱線した機関車と同形式(EF210)の全車両の車軸検査を優先的に実施(並行して同種車軸を搭載した他形式の機関車の点検も実施)
なお、7月25日17時現在、車軸の折損が脱線の前後どちらで発生したかはわかっていない。
EF210形機関車は、JR貨物が1997年から運用している直流電気機関車。国鉄時代に製造された機関車の置き換え用として開発され、2024年現在もマイナーチェンジを重ねつつ増備が続いている。脱線事故を起こしたEF210形341号機も、2022年に製造された比較的新しいグループだ。
同形式は主に関東〜東海〜関西〜中国地方の太平洋側を結ぶ幹線ルートとその周辺で運用される主力機関車で、担当する貨物列車も多い。今後の展開次第では関東以西を中心に、国内の物流網に大きな影響を与える可能性もありそうだ。