流行りの3Dサドルは涼しいはず
最近流行りの自転車用パーツのひとつに、3Dプリンタで成型した通称「3Dサドル」があります。液体ポリマーに紫外線を当てて成型したパッドを持ち、部位によって反発力や沈み込み量など面圧を自由に設定できることから、今までにないフィット感をもたらすというのが売り文句です。
ただし、そうしたコンフォート性能と引き換えですと言わんばかりにお値段はお求めにくい。このタイプのサドルで良く知られているのは、アナトミックサドルの先駆けでもあるスペシャライズドの「Mirror」サドルですが、これが5万円台。最近になって普及版の「Power Pro with Mirror」も発売されましたが、それも4万円台前半。そうした人気高額商品の常としてどこからともなく湧いてくる模造中華品ですら、なかなか1万円を切りません。
個人的にロードバイクにはセラSMPの「Nymber」が文句なく使えていることから、3Dサドルに心惹かれるものはありませんでした。が、夏が近づくと共に気になり始めたのです。「あのサドル、ちょっと涼しいのではないか」と。
まず見た目からして座面メッシュのオフィスチェアを想起させます。自転車の場合は走行中にラム圧を受けますから、それを上手く通してくれたらベンチレーション効果も期待できるのではないか。
従来の穴あきサドルでも空冷効果は期待できますが、いわゆるデリケートゾーンの中心のみ。荷重を支える左右の坐骨周辺の風通しは良くありません。そこに風があたると、ちょっと良いのではないか。ペダルを踏んでいる身体側は毎分百回近く動いて熱を発しているわけで、そこにちょっとでも風があたると、そこそこ涼しく感じるのではないか。
いや、その程度のことに5万はどうなんだ? でもそのちょっとの差で熱中症で死に目に遭うとしたら? そこへ至る閾値が少しでも緩くなった結果として死なずに済んだとしたら? 高くはない。そうだ、決して高くはないのであーる。
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