ネットサービスに大きな影響
またCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の障害でも、多数のサイト・サービスに影響が広がります。直近でもっとも大きいCDN障害は⑥、021年6月の「fastly」の障害です。時間は1時間と短かったものの、ほぼ全世界で障害が起きました。日本ではYahoo!、読売新聞、Abema、TVer、環境省などの大手事業者がストップ。さらにアマゾンやXも影響を受けています。
CDNは負荷分散や高速化が目的であるため、主に大手のネットサービスが利用しています。そのため、CDNが止まってしまうとSNSやECの大手サービスも止まります。
私たちの仕事に影響が出ることもあります。例えば②のOffice365障害(2019年11月)では、ワードやエクセル、SkypeやTeamsがストップして業務ができない状態となりました。
クラウド系の障害の中で、もっとも大きな問題に発展したのは、③の自治体向けクラウド「Jip-Base」での障害です。自治体が使う共同利用型IT基盤での障害で、ストレージに異常が発生して全国53の自治体・団体に影響が出ました。サービスが止まるだけでなくデータが飛んでしまうという深刻なトラブルとなりました。
その後の復旧作業でデータはバックアップなどから戻したものの、1ヵ月後の発表でも「バックアップデータが特定できないためIaaSサービスとして自社のみでの復旧が困難なもの」が0.5%残ると発表されています。自治体のデータが復旧できないとしたら私たちの暮らしに直結する深刻な事態です。