親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第279回
ただし被害は少なめだがトラブルが起きていることは確か
日米中韓の高校生にSNSの使い方を聞いてわかったこと。日本は4ヵ国で一番平和
2024年07月16日 09時30分更新
複垢率が高いがゲーム・投げ銭率は低い
高校生のSNS利用実態は国によってどのように異なっているのか。国立青少年教育振興機構の「高校生のSNSの利用に関する調査報告書―日本・米国・中国・韓国の比較―」(2024年7月)を見てみよう。
これは4ヵ国・計1万5000人以上の高校生に、SNSの利用率と利用時間、利用する主な目的、SNS上での各経験、日常生活や精神状態などへの影響及び不安などをアンケート調査して得られたデータをまとめたもの。
おすすめの関連記事
意外!? 高齢者もアダルト情報のワンクリック詐欺に注意
SNSの利用について聞いたところ、4ヵ国とも「利用している」が9割以上であり、特に日米韓では96%以上に。
日本の高校生は、SNSでの複数アカウント使い分けを「よく/ときどきしている」が5割以上であり、4ヵ国中最も高かった。複数アカウントは人間関係や興味関心別に使い分けられ、情報を取得・交流する際にも効率が良いなどのメリットがある。
一方、SNSを使って「オンラインゲームをする」(54.3%)、「投稿を誰でも閲覧可能な範囲に公開する」(25.3%)、「投げ銭をする」(3.6%)を「よく/ときどきしている」割合は4ヵ国中で最も低くなっている。韓国の高校生では半数が投げ銭を「よく/ときどきしている」など、国によって利用は大きく異なるようだ。
他国と比べて少ないが被害は起きている
SNSで知り合った人の有無について尋ねたところ、「いる」割合は、米国が66.3%で最多に。しかし日本も49.2%と約半数に上る。
SNSで知り合った人がいる人に対して、その人と会ったことがあるかについても尋ねている。「会ったことがある」割合は、米国が67.7%と最も高く、中国が18.4%と最も低かった。日本は43.3%が会っている。
SNSの利用による被害経験についても尋ねている。日本は、「個人情報が漏えいされたこと」「架空請求をされたこと」「アカウントの乗っ取りをされたこと」が「ある」割合はいずれも9%未満で、4ヵ国中最も低くなっている。
「自分の写真が無断投稿されたこと」が「ある」割合は12.2%で、中国に次いで低い。「自分についてのうわさ話が拡散されたこと」が「ある」割合は7.6%で中国とほぼ並び、米韓に比べて低かった。
SNS上で悪口や嫌がらせを受けることがあるかについても尋ねている。「よく/時々ある」割合は日本は4.3%で、他国と比べて最も低くなっている。一方、「全くない」割合は、日本は81.6%であり、米国の34.0%など、他国と比べてとても高くなっている。
全体に他国と比べて被害は少なめとなっているが、起きていないわけではなく、起きた場合の被害は大きなものだ。引き続き、約束やルールを決め、保護者が見守ることも大切だろう。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
この連載の記事
-
第297回
デジタル
女子大生の8割以上がショート動画視聴は「最も無駄な時間」 -
第296回
デジタル
SNSに投稿する高校生は今や少数派! 複垢・鍵垢で情報収集がメイン -
第295回
デジタル
夜中に送っておきたいけれど、相手に迷惑かも…… そんなときに便利な「ミュートメッセージ」の使い方を画面付きで紹介 -
第294回
デジタル
合コンはいずれ死語に? Z世代ミレニアル世代は「マッチングアプリ」で出会ってる -
第293回
デジタル
学校貸与PC、子どもは「動画視聴」目的だが、保護者は「調べもの」に使ってほしい -
第292回
デジタル
LINEの便利技! 画像内の文字をテキスト化して翻訳できる -
第291回
デジタル
小中学生の6割が睡眠不足、寝落ちするまでスマホ・SNS・ゲームも -
第290回
デジタル
通勤・通学・外出の移動時に6割の人がスマホでLINEとSNSをチェックする -
第289回
デジタル
LINEで既読を付けずにメッセージを読む方法 -
第288回
デジタル
アメリカ人の4割がTikTokを検索エンジンとして利用している -
第287回
デジタル
若者がないと困るのは財布よりスマホ。忘れたら「取りに帰る」 - この連載の一覧へ