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AI検索「Perplexity」の「Pro Search」が大幅機能向上。4時間ごと5回まで無料

2024年07月04日 13時30分更新

文● 田口和裕

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 Anthropicは7月2日(現地時間)、同社のAI駆動型検索エンジン「Perplexity」の「Pro Search」機能を大幅にアップグレードしたことを発表した。この機能は複雑な質問に対して詳細な回答を提供するものだ。

無料ユーザーも利用可能

 Pro Searchは、通常の検索(Quick Searchと区別して呼ばれる)とは別に、多段階推論や高度な数学能力を備えたより高度な検索ツールだ。

 無料ユーザーは4時間につき5回まで使用可能。月額20米ドル(およそ3200円)の「Perplexity Pro」サブスクリプション(現在ソフトバンクユーザーは無料で1年使えるキャンペーン中)に加入すると1日あたりの利用回数が大幅に増加する。

 

 Anthropicによると、複雑な市場調査や科学論文の要約、効率的なコードデバッグなど学術研究、ビジネス分析、プログラミング支援といった深い分析や専門知識が必要な場面で特に有用だという。

複雑な問題も多段階推論で段階的に

 多段階推論は、複雑な問題を小さな部分に分解し、段階的に解決していくPro Searchの中核をなす技術だ。

 この画面は、「オーロラを見るのに最適な時期と場所」という質問に対するPro Searchの多段階推論プロセスを示している。

 まず、システムはアイスランドとフィンランドでのオーロラ観測に最適な時期について情報を検索する。

アイスランドとフィンランドでの観測に最適な時期について調査

 次に、アイスランドでの最適な観測地点を探し、同様にフィンランドでの観測地点も調査する。

フィンランドでの観測地点を調査

 この段階的なアプローチにより、Pro Searchは複雑な質問を分解し、各要素に対して詳細な情報を収集できる。その結果、ユーザーには「アイスランドとフィンランドでのオーロラ観測は一般的に9月から3月が最適」という包括的な回答が提供される。

 回答には各国ごとの詳細な情報や、観測のベストタイムなどの具体的なアドバイスなども含まれている。

 このように、多段階推論を用いることで、Pro Searchは人間の思考プロセスに近い形で複雑な質問に取り組み、より詳細で実用的な回答を生成することが可能となっているのだ。

高度な数学とプログラミング機能

 Pro Searchは、「Wolfram|Alpha」エンジンとの統合により、高度な数学的問題やデータ分析にも対応可能になった。これにより、複雑な方程式の解法や統計分析、アルゴリズムの最適化などを高速かつ正確に実行できるという。

 この画面は、「Knight Dialer問題」と呼ばれるチェスのナイト(馬)の動きを電話のダイヤルパッドに適用する複雑な数学的パズルに対するPro Searchの取り組みを示している。

「Knight Dialer問題」

 Pro Searchはこの問題に対して、人間が複雑な課題に取り組むように段階的にアプローチしている。

 具体的には、最初に問題の基本情報を集め、次にルールを理解し、解決方法を探り、最後に具体的な答えを出すといった形だ。

 さらに、コード実行機能の強化により、データ分析やデバッグ、コンテンツ生成などのプログラミング関連タスクも効率的に処理できるようになった。

 これらの機能強化により、Pro Searchは研究者、エンジニア、データサイエンティストなど、高度な計算やプログラミングを必要とする専門家にとって、より強力なツールとなっている。

2つの検索方法

 Perplexityはユーザーのニーズに応じて、従来のQuick Searchと、今回機能が大幅に強化されたPro Searchの2種類の検索方法を提供している。

 Quick Searchは、「東京タワーの高さは?」といった簡単な質問や事実確認などに適している一方、Pro Searchは「日本の少子化問題の原因と対策は?」といった、より深い分析が必要な問いに適している。

 ユーザーの目的や質問の複雑さに応じて、これら2つの検索方法を使い分けることで効率的な情報収集が可能になるという。

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