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巨大オーロラの観測に成功、発生の仕組みを解明

2024年06月28日 06時57分更新

文● MIT Technology Review Japan

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電気通信大学、国立極地研究所、京都大学を中心とする国際共同研究グループは、2022年12月25日に北極域を埋め尽くすように出現した巨大なオーロラについて、宇宙や地上からの観測を統合的に解析。この巨大なオーロラは、太陽から吹き付ける荷電粒子の風である「太陽風」が1日以上にわたってやんでいた時間帯に、太陽から北極域に「電子の雨」が降り注ぐことによって作られたものであることを突き止めた。

電気通信大学、国立極地研究所、京都大学を中心とする国際共同研究グループは、2022年12月25日に北極域を埋め尽くすように出現した巨大なオーロラについて、宇宙や地上からの観測を統合的に解析。この巨大なオーロラは、太陽から吹き付ける荷電粒子の風である「太陽風」が1日以上にわたってやんでいた時間帯に、太陽から北極域に「電子の雨」が降り注ぐことによって作られたものであることを突き止めた。 研究チームは今回、ノルウェーのスバールバル諸島に設置されている複数の全天型オーロラ撮像装置と極軌道を周回するDMSP衛星に搭載されている紫外線撮像装置の観測結果を組み合わせて解析。太陽風が消えていた時間帯に、極地方全体を完全に覆い尽くすほど巨大で、地上からも肉眼で見えるほど明るいオーロラが発生していたことを明らかにした。 同チームによると、このとき、太陽の磁場と地磁気(地球固有の磁場)が繋がりあう条件が満たされていたことから、太陽表面のコロナホールと呼ばれる構造から磁場に沿って宇宙空間に放出された太陽起源の電子群が、太陽と地球を繋ぐ磁力線に沿って直接地球大気に導かれ、極地方に雨のように降り注いだと考えられるという。また、太陽風が消えていたことにより、電磁気的な力によって進路を乱されることがなく、通常よりも遙かに大量の電子が北極に到達できたとしている。 研究チームはさらに、地上からの高い解像度の光学観測によって、電子の雨に伴って発生するオーロラに複雑な模様があることも明らかにした。この模様は、電子の雨の起源である太陽表面の構造をスクリーンのように映し出している可能性があり、電子の雨がつくりだすオーロラを地上から観測することによって、太陽表面のイメージングが可能になることが期待される。 研究論文は、2024年6月21日に、サイエンス・アドバンシス(Science Advances)のオンライン版に掲載された

(中條)

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