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eSports王者がリアルレースに挑戦! 冨林勇佑選手のSUPER GT参戦記 第3回

eSports出身レーサー・冨林勇佑、SUPER GT第3戦鈴鹿はトラブルで上位進出ならず

2024年06月23日 12時00分更新

文● 吉田知弘 写真●加藤智充 編集●ASCII

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 2024年のSUPER GT第3戦が6月1~2日に鈴鹿サーキットで行なわれ、グランツーリスモ世界チャンピオン経験を持つ冨林勇佑は、9号車「PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG」をドライブし3時間の長丁場レースを走り切って、17位完走を果たした。

 早くも3戦目を迎えた2024シーズン。今年はチームを移籍して心機一転の気持ちで臨んでいる冨林は、自身も表彰台に立った経験がある鈴鹿サーキットでのレースを迎えた。

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レースが始まる前からトラブル続出

 前戦の富士大会ではポイントを獲得できなかったものの、メルセデスAMG GT3への理解を深めていた冨林。この鈴鹿でさらにパフォーマンスを上げたいところだったが、レースウィーク序盤から予想外のトラブルに見舞われた。

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 公式練習に向かう直前、ミッション周りの部品に不具合があることが判明。ちょうど走行前にメカニックが発見して部品の交換作業に入ったが、それが思った以上に時間を要し、公式練習のほとんどを走行できないままに終わった。

 冨林もFCY(フルコースイエロー)テストのセッションでマシンに乗って感触をチェックした程度で、十分な走り込みができないままに予選に臨んだものの、1分59秒399を叩き出してQ1 Bグループで5番手につけた。このグループで同じヨコハマタイヤを履く車両の中では2番目に速いタイムを記録し「予選はぶっつけ状態でしたけど、その中で最善は尽くせたと思います」と安堵の表情を見せていた。

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 これによりQ2は上位グリッド獲得権利のあるグループ1へ進出。こちらは阪口良平がタイムアタックを担当し2分00秒568で14番手となり、GT300クラスの中間順位シャッフル制度の対象となり、最終的に17番グリッドからのスタートが決まった。

決勝はタイヤと路面がマッチせず17位で完走

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 迎えた6月2日の決勝レース。今回は第3ドライバーの藤原優汰がスタートを担当した。混戦の中でポジションの浮き沈みはありながらも、19番手を維持。スタートから約55分が経過した26周目にピットインし、冨林が乗り込んだ。

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 ここから安定したペースで追い上げを狙ったが、選択したタイヤがコンディションとのマッチングがうまく合わず苦戦を強いられてしまう。それでもポジションを落とすことなく粘り強い走りをみせて、残り45分となった64周目に2度目のピットイン。阪口に交代してゴールを目指し、17位でフィニッシュした。

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 「僕のスティントは選択したタイヤが合わなくて、ペースが上がらない状態が続きました。あとはエアジャッキのトラブルもあって、ピットでもタイムをロスすることになって、それまで目の前にいたライバルにも離される展開になってしまいました。今回は良いところがなかったですね」と冨林。今回は公式練習で走れなかったことも影響し、決勝で苦戦する展開となってしまったが、それでも前戦からの課題が残った状態だという。

 「前回の富士からそうでしたが、けっこう早い段階でリヤ側が苦しくなる傾向があって、今回はトラブルもあって公式練習が走れなかったこともかなり影響しました。最終スティントでは硬めのタイヤでいきましたけど、ほかの車両と比べるとペースは良くなかったです。特にロングランの部分を見直す必要がありそうですね」(冨林)

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 次回は8月初旬の第4戦富士。冨林は「インターバルの期間が長いので、これまでのレースを振り返って改善点が必要なところを洗い出したいなと思います。今回のレースでも色々わかったことがあるので、そこはチームと一緒に取り組んでいきたいです」と意気込みを語った。

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 なお、GT300クラスは予選から速さをみせた777号車「D'station Vantage GT3」が優勝。2位に2号車「muta Racing GR86 GT」、3位に6号車「UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI」が続いた。

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圧倒的な速さで優勝した、777号車「D'station Vantage GT3」

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左からチャーリー・ファグ選手、佐々木主浩総監督、藤井誠暢選手

GT500クラスは36号車auが大きなハンデの中で5位入賞

 GT500クラスは予選から速さをみせた37号車「Deloitte TOM'S GR Supra」がレースをリード。途中、14号車「ENEOS X PRIME GR Supra」との白熱したトップ争いとなり、最終スティントに入るところでは14号車が逆転してトップに立ったが、ピットレーンを走る他車を妨害する「アンセーフリリース」の判定を受けドライブスルーペナルティを受けた。これにより37号車が再びトップに浮上し、そのままフィニッシュ。

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 Deloitteカラーになってからの37号車としては初勝利で、同時に笹原右京とジュリアーノ・アレジにとってもうれしいGT500初優勝となった。

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36号車「au TOM'S GR Supra」

 また、ランキング首位を快走する36号車「au TOM'S GR Supra」は、今回、62kgのサクセスウェイトを背負ってのレースとなった。GT500クラスでは50kgを超えると燃料リストリクターを制限しウェイトの一部とするというルールがあり、より厳しい戦いになるかと思われたが、決勝では積極的に前のマシンに仕掛けていき、ピットストップで順位を上げていった。

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 最終的に5位でチェッカーを受け、ランキング首位の座をしっかり守った。

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