ARグラスと連携でき3Dコンテンツを手軽に体験できる
「XREAL Beam Pro」が8月6日から発売
XREALは19日、日本でARグラス「XREAL Air」などに対応するコントロールデバイス「XREAL Beam Pro」を発表しました。すでに予約販売を開始しており、8月6日から順次発送予定です。販路は公式サイトと家電量販店。価格は6GB/128GBが3万2980円、8GB/256GBが3万9800円です。
プレスリリースでは、Beam Proが3D空間カメラを搭載し、ARグラスと組み合わせることで「3Dコンテンツを簡単に体験できる」アクセサリーである、と紹介されています。
その文言通り、最大の特徴は空間ビデオを撮影できること。Beam Proで撮影した空間ビデオは、ARグラスXREAL Airシリーズで視聴する際、仮想空間上に立体的な動画として表示されます。
スマートフォンのようなボディーの背面にカメラを2つ搭載し、これで撮影した映像をARグラスで視聴できます。
2眼カメラは奥行き感を出すために離れてレイアウト
日本XREALプロダクトマネージャーの高 天夫(こう てんふ)氏によると、Beam Proにある2つのカメラは、一般的な複眼カメラのスマホより離れています。人間の眼に近い距離を再現したことで、複眼スマホで撮影した映像より奥行き感のある映像となるそうです。
短時間ながら実際に撮影して「XREAL Air 2 Ultra」で再生すると、こんなにも手軽に立体的な映像を楽しめるのか! という驚きがあり、XREALのARグラスユーザーなら手を出して損はないと感じました。
高氏いわく、1m先の物を撮影すると、人間の眼で見たときの奥行き感、被写体の細部を鮮明に再現しやすいとのこと。また、Beam Proは横にカメラが並ぶため、縦持ちでの撮影には対応しないことにも注意が必要です。
60万円もかけずに空間ビデオを見られる
ただ、空間ビデオの撮影と視聴は、Appleの一部デバイスでも可能ですが、手を出すには勇気のいる価格です。たとえば視聴用途の「Apple Vision Pro」は256GBモデルで59万9800円、撮影用途の「iPhone 15 Pro」は256GBモデルで15万9800円ですから、合計で75万9600円もします。
Beam Proは8GB+256GBモデルで3万9980円、XREAL Air 2 Ultraの9万9800円なので、単純合計額は13万9780円。Appleデバイスの導入に比べると、格段に導入しやすい金額です。もちろん、Appleデバイスは価格なりにスペックも非常に高いのですが。
Beam ProのOSはAndroid 14ベースの「NebulaOS」。2つのアプリを起動して、左と右の画面で異なる作業を同時にこなせるのもウリのひとつです。
同日の発表会で高氏は、空間ビデオだけでなくコンテンツの重要性もアピールしました。OSを搭載し、スマホさながらの操作感としたのは、スマホ慣れした人でもARグラスに手を出しやすくしたいからだそうです。
スマホとケーブルでつないでスマホの画面を出力する使い方もARグラス市場では浸透したそうですが、「それしかできない……というネガティブなイメージも抱かれるのが課題である」と高氏は語ります。
そのため、Google Playからのアプリダウンロードも可能にし、よりスマホライクに使えると同時に、ARグラスの課題となっているコンテンツ不足を解消するそうです。
XREALは過去にARグラス「XREAL Light(旧名Nreal Light)」を開発者に無償で提供し、ARコンテンツ開発を促進するプログラムを実施していましたが、それ以前にスマホライクに使えるOSが手元にあった方が良いと考えたのでしょう。
チップセットはクアルコムの「Snapdragon Spatial Companion Processor」(空間コンパニオンオクタコアCPU)。空間ビデオに適したチップセットだといいます。また、4300mAhのバッテリーも搭載します。
スマホの操作感で使えるBeam Proは
ARグラス普及の牽引的存在になりそう
スマホライクに使えるBeam Pro、この価格で空間ビデオを撮影できる優れものですが、1点だけ惜しいのは日本だとWi-Fiモデルしか選択肢がないことです。
XREAL Beam ProはWi-Fi接続は可能ですが、SIMカードやeSIMを用いたモバイル通信による接続には対応しません。撮影した動画、静止画をその場で他の人と共有するために、クラウドストレージサービスを利用することを考えると、大容量のデータ通信サービスを使いたいところです。
……と、少々辛口な評価にはなってしまいましたが、撮影した空間ビデオをそのままスマートグラスで楽しめるのが大きな特徴ですので、空間ビデオ撮影用の低価格デバイスが欲しい、という人にとっては一考に値するでしょう。