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低酸素濃度チタンの大量製造へ道筋、東大が新技術

2024年06月18日 06時32分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、酸素濃度が極めて低いチタンの大量製造を可能にする新技術を開発した。チタンは、チタン酸化物を主原料とするチタン鉱石をチタンの塩化物に転換してから製造するが、生産効率が著しく低く、コストが高い。また、製造工程で大量の二酸化炭素が発生する。

東京大学の研究チームは、酸素濃度が極めて低いチタンの大量製造を可能にする新技術を開発した。チタンは、チタン酸化物を主原料とするチタン鉱石をチタンの塩化物に転換してから製造するが、生産効率が著しく低く、コストが高い。また、製造工程で大量の二酸化炭素が発生する。 今回開発した技術では、希土類元素のオキシフルオロライドの生成反応を利用してチタンを製造する。この手法を採用することで、塩化物などの中間化合物に変換する必要がなくなり、酸化チタン原料から酸素濃度が十分に低い金属チタンの直接製造が可能になる。特にイットリウム(Y)とフッ化イットリウムを利用すると、酸素濃度を0.02質量%まで下げたチタンを製造できる。 また、この技術を利用することで、不純物である酸素を多く含むチタンのスクラップや同様に酸素を多く含むチタン合金のスクラップから、高純度の金属チタンやチタン合金にアップグレードすることも可能になる。スクラップをアップグレードすることは、鉱石から金属を製造する工程に比べて低コストで環境負荷も小さいという。 研究成果は6月12日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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