Lepton Hydro WSZ790 Cubeをレビュー
容積26.1Lの小型WSなのに14900KF&RTX 4090構成でも大丈夫? 性能・温度・動作音を検証
2024年06月19日 10時00分更新
Intel Baseline Profileの適用で安定化
試用機材のCPU、Core i9-14900KFは24コア/32スレッド構成のハイエンドモデルとなる。高性能なPerformance-cores(Pコア)を8基、高効率なEfficient-cores(Eコア)を16基併載するパワフルなCPUのため、消費電力や発熱も高くなりがちだ。
昨今のインテル製CPUは、大きく分けて2段階の電力制限を採用している。Core i9-14900KFの場合は、仕様上のPBP(プロセッサーのベースパワー、Power Limit 1=PL1)が125W。MTP(最大ターボパワー、Power Limit 2=PL2)が253Wになる。
一方で、近年のBTO PC・ワークステーションはメーカー各社が電力制限を変更し、冷却力とパフォーマンスのバランスを調整しているケースがある。
実際に、Lepton Hydro WSZ790 CubeにおけるCPUの電力設定を見てみると、PBP(PL1)が標準より35W高い160W、MTP(PL2)は標準と同じ253Wだった。
短時間のみ劇的にパフォーマンスを高めるMTP(PL2)は据え置きとし、CPUを使った長時間のレンダリングやエンコードといった作業で恩恵を受けやすいPBP(PL1)を高めることで、総合的なパフォーマンスの向上が見込めるわけだ。
また、試用機材では5月以降の最新BIOSで登場した、「Intel Baseline Profile」を有効化していた。簡単に言えば、高クロックで動作するCPUの挙動を調整し、故障を防ぐプロファイルだ。長期に渡る安定動作が求められるワークステーションでは、導入するメリットが大きいと思われる。
これらの設定でCPUが実際にどの程度のパフォーマンスを発揮できるのか。まずは3DCGのベンチマークソフト「CINEBENCH 2024」で確認してみよう。10分間のウォームアップ後にスコアーを算出するモードで検証した。
スコアーはCPU(Multi Core)が1736pts、CPU(Single Core)が136pts。Intel Baseline Profileが効いているので、妥当なスコアーと言える。では、CPU温度はどうなっているのか。モニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」で計測開始から9分後の様子を見てみよう。
CPUのコア温度は最大97度程度まで上昇するが、これはPL2で駆動しているわずかな時間のみ。テスト中ほとんどの時間はPL1動作でコア温度は72~73度前後で安定していた。CPUパッケージ温度も規定の最大温度であるTjMAX(100度)に届いておらず、しっかり冷却できていることがわかる。
Lepton Hydro WSZ790 Cubeはワークステーションなので、「HandBrake」を使って動画エンコード時の挙動も確認してみた。再生時間約4分の4K・60fps動画を、プリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」にエンコードする時間を計測した。
エンコードにかかった時間は約4分57秒と、CPUエンコードでもまずまず高速と言ってもいい結果だ。CPUのコア温度は最大87度と余裕があり、ほとんどの時間は70度前後で推移していた。
薄型ファンを採用した240mmラジエーターの簡易水冷ユニットで、十分しっかり冷却できていると言えるだろう。これなら動画編集などの高負荷なクリエイティブワークでも、安心して作業できるはずだ。