このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第103回

〈前編〉つむぎ秋田アニメLab 櫻井司社長ロングインタビュー

『第七王子』のEDクレジットを見ると、なぜ日本アニメの未来がわかるのか

2024年07月13日 15時00分更新

文● まつもとあつし 編集●村山剛史/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』を制作したアニメスタジオ「つむぎ秋田アニメLab」櫻井司社長へのロングインタビューを前後編でお届けする

後編はこちら

人気急上昇のなろう原作アニメが、他作品とひと味違う理由

 たびたびX(Twitter)のトレンド入りを果たすなど、テレビアニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(以下、『第七王子』)が好評だ。

 実はこの作品の制作スタジオ「つむぎ秋田アニメLab」の本社は秋田県にあり、プロダクション成果物の多くを内製で生みだしている。2024年5月にはバンダイナムコフィルムワークスとの業務提携が発表されたことでも注目を集めた。

 元請け・下請けの関係が複雑に絡み合い、海外への依存度も高い一般的なアニメ制作とはまったく異なるプロセスで生み出された本作の舞台裏について、スタジオの代表・櫻井司さんに詳しく話を聞いた。

『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』

『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』
イントロダクション

魔術に大切なものは、“家柄”・“才能”・“努力”……。魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた“凡人”の魔術師。死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、強い魔術の血統を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。

過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えながら生まれ変わった彼は、前世では成しえなかった想いを胸に、桁外れの魔力で“気ままに魔術を極める”無双ライフをエンジョイする!

ライトノベルを原作とし、マンガアプリ「マガジンポケット」(講談社)で連載を開始したコミカライズはアプリ内セールスランキング1位を記録し、シリーズ累計発行部数は300万部を突破! いま最も注目される“転生異世界ファンタジー”が満を持してアニメ化!

舞台となるのは獣や魔人が巣食う異世界。本作では魔術に通じる者たちが恐れを成すほどの絶大な魔力を持つロイドが、自身の興味の赴くままに魔術を学び、極めようと成長する姿が描かれていく。ちょっぴりお気楽だけど、強大な力で圧倒していく魔術バトルの爽快感と迫力が詰まった、“第七王子”による気ままな転生物語が今はじまる!

■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入

こんなエンドクレジット見たことない!

―― 『第七王子』のエンドクレジット(エンディングで表示されるスタッフクレジット)が、ほかの一般的な作品と大きく異なることに驚いた業界関係者も少なくないはずです。そして、そのことが本作が安定したクオリティーで制作されていることと大きく関わっています。まずはクレジットを見ながらお話をお聞かせいただければと思います。

テレビアニメにおいて、脚本および演出・絵コンテの顔ぶれが変わらないのは異例のことだ

櫻井 まず、通常のテレビシリーズアニメの場合、話数ごとに脚本、演出・絵コンテの担当は異なっているのが普通ですが、本作では全話同じになっています。

―― それが可能なのも、その後に続く工程が従来と大幅に異なるからですね。次のクレジットを見て、私も大変驚きました。本来まったく違う担当領域である3Dレイアウト・原画・線撮を同一のスタッフが手掛けているのですね。

アニメ制作に詳しい人ほど『……誤植だよね?』と思ってしまうようなクレジット表記が続出する

櫻井 やってます! 弊社は3D班を置かず、Unreal Engineを用い、みんなが従来の工程をまたいで作業する体制をとっています。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ