このページの本文へ

自分で集合と散開をする群体分子ロボット、東北大などが開発

2024年06月06日 06時10分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東北大学と京都大学の共同研究チームは、無数の分子ロボットを望み通りに動作させることにつながる分子制御技術を開発した。分子ロボットとは、センサー(感覚装置)、プロセッサ(計算機)、アクチュエータ(駆動装置)などのロボットを構成するデバイスが分子レベルで設計されており、それらを一つに統合することで構成される分子のシステムである。

東北大学と京都大学の共同研究チームは、無数の分子ロボットを望み通りに動作させることにつながる分子制御技術を開発した。分子ロボットとは、センサー(感覚装置)、プロセッサ(計算機)、アクチュエータ(駆動装置)などのロボットを構成するデバイスが分子レベルで設計されており、それらを一つに統合することで構成される分子のシステムである。 研究チームはこれまでに、個々の分子が運動しつつ群れを形成する「ばらばらに滑走する」分子ロボットを開発し、外部からの操作で群体として組み立てたり、解体させたりすることに成功している。今回の研究では、人工的に設計したデオキシリボ核酸(DNA)と酵素からなるDNA回路で構成された「分子コントローラー」を構築。直径25ナノメートル(nm、1nmは10-9メートル)、全長約6マイクロメートル(µm、1µmのは10-6メートル)の分子ロボットと共存させることで、外部から操作をしなくても、プログラムに従って自ら組み立て・分解をする分子システムを開発した。 ばらばらに滑走するタイプの分子ロボットは、指向性と制御性が高いことから注目されている。しかし、命令を与えるためには、DNA分子の添加や光照射などの、外部からの操作が必要となる、そこで、体内など外部からの信号が届かない微小な環境でタスクを実行するために、状況に応じて群体の集合や分解を自動的に実行できるようにする研究が進められている。 今回の成果は、将来的な分子ロボットの利用や医療応用などへの実用化に向けた一歩となることが期待される。研究論文は、サイエンス・アドバンシス(Science Advances)に2024年5月31日付けで掲載された

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ