機種別の進化ポイント
4機種のうちXR90は、Mini LED搭載のフラッグシップ機で、豊富な高画質化技術がポイント。特に注目したいのは、Backlight Master Driveの進化だ。ピーク輝度とバックライトコントロールの精度の向上で高い映像美を感じ取れる。また、エリア制御のためにソニー独自のLEDドライバーをソニーセミコンダクターと共同開発して搭載。緻密なコントロールが可能となった。デバイスはゴマの1/4程度と非常に小型で、これを多数配置して、多くの分割数を可能にしている。また、基板レイアウトの効率化や低消費電力化にも貢献。輝度は高くなったが、全体の低消費電力は下がっているという。数値的には約1.5倍のピーク輝度高輝度化とXR Contrast Booster 30による高コントラスト化も果たした。
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ソニーは最近、4000nitの高輝度に対応したマスターモニター(HX3110)をリリースし、制作現場にも徐々に浸透しつつある。最先端のハリウッド作品では4000nitの環境を活用したグレーディングも出ているが、XR90はこれに匹敵する輝度表現が可能だ。例えば夕日などの輪郭表現、明るい空に浮かぶ雲の階調性などが確実に表現できる。
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写真はバックライトが置かれた基板、中央の非常に小さな部品が新しいコントローラーだ。エリアコントロールの分割数も倍となり、細かさはK型番の従来機に比べて3倍になった。ちなみにコントローラー側で対応する階調も22bitとかなり高い数字になっている。エリアコントロールの精度についてはバックライトだけを見たデモも観られたが、精細化することによって、暗い画面に浮かぶシャンデリアなどでフレアや明るいところと明暗部の帯の沈み込みなどが、バックライトだけで分かるほどの緻密さだった。
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従来のフレームトゥイーターも併用、設定ではビームトゥイーターの効かせ具合を調整できる。X95Lも量感があって中低域を重視した充実のサウンドという印象だったが、XR90では両方のツィーターを同時に使用しており、それに合わせた音圧の調整をしていることもあり、高域の明瞭感に差が出る。
音質面では、昨年モデルが搭載していたフレームトゥイーターに加えてビームトゥイーターを背面上部に搭載した。画面から音が出ているような包み込まれる感覚が得られる。サイズは65型、75型、85型の3サイズ。
Mini LED搭載の下位となるXR70は、Backlight Master DriveのICが前世代、高コントラストか処理もXR Contrast Booster 20となるものの、現行のハイエンドモデルX95Lと同等のパフォーマンスを誇る戦略モデルでもある。また、XRプロセッサーの進化によって、画づくりに関してはXR90に近い進化したものになっている。サイズは55型、65型、75型、85型の4サイズ。
有機ELのA95LはQD-OLED搭載の有機ELフラッグシップテレビ。海外では昨年から販売している。従来機との比較でピーク輝度は倍ぐらい出せるという。サイズは55型と65型の2サイズ。XR80は「A80L」の後継でXR Contrast Booster 15により、ピーク輝度が1.2倍ほど向上している。サイズは55型、65型、77型の3サイズ。
全体のラインアップとしては「A90K」「X90L/X90K」「X85K」「X80L」「X75WL」などが継続している。合計で有機EL3シリーズ、液晶6シリーズの展開だ。明るい環境下での画の見え方を含めて高画質を訴求していきたいという。特に77インチ、83インチの有機ELテレビは高価になりがちでもあり、大画面のMini LEDテレビをフラッグシップとして重点を置いていきたいそうだ。
なお、フラッグシップとなるXR90と、有機ELの最上位「A95L」の比較では、画の締まり感は有機ELのほうがよく自然さや落ち着きがある。XR90は全体に明るくビビッドな色彩感がある。比較的明るい場所でテレビを観るリビングであれば華やかさがあるし、全体にパキッとした明瞭感もあって好印象だった。価格、画面サイズ、画質などのバランスからXR90をフラッグシップに置いたソニーの意図も十分に理解できるできであった。
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