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前頭前皮質が感情を制御する仕組み、京大など解明

2024年05月27日 06時11分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、前頭前皮質が感情を司る辺縁皮質や線条体を制御する仕組みを解明した。うつ病などの精神疾患では、前頭前皮質による感情制御が適切に機能せず、悲観的な状態が続くことが知られているが、その具体的なメカニズムは不明だった。

京都大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、前頭前皮質が感情を司る辺縁皮質や線条体を制御する仕組みを解明した。うつ病などの精神疾患では、前頭前皮質による感情制御が適切に機能せず、悲観的な状態が続くことが知られているが、その具体的なメカニズムは不明だった。 研究グループは、多点電極記録法を用いてマカクザルの前頭前皮質から辺縁系に至るベータ振動を同時に記録し、情報が局所電場電位のベータ振動の強弱で表されていることを突き止めた。これにより、前頭前皮質がベータ信号を通じて他の脳領域を制御するトップダウン型の信号を発信していることが明らかになった。 さらに、うつ病モデルのマカクザルで前頭前皮質と辺縁皮質・線条体の間のベータ信号を記録したところ、前頭前皮質からのトップダウン信号が減弱していることが確認された。これにより、うつ病様の悲観的な状態では、前頭前皮質からの信号が弱まり、感情的な意思決定が増えることが示唆された。 研究成果は5月17日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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