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法人向けイベントで顧客接点・顧客体験・データ活用の各種アップデートを披露

LINEヤフーが語る、顧客と“よき友だち”になるための「Connect One構想」の現在

2024年05月29日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 LINEヤフーは、2024年5月28日と29日の2日間、法人向けサービスの事例を紹介するイベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」を開催した。

 本記事では、同社のConnect One構想の概要やその実現に向けたプロダクトアップデートが披露された、初日のKEYNOTEの様子をお届けする。

イベントは渋谷ヒカリエおよびMIYASHITA PARKで開催された

顧客と“よき友だち”になるための「Connect One構想」

 冒頭、LINEヤフーの上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCEOである池端由基氏は、「LINEヤフーは、企業と生活者における接点に存在し、そのつながりをより良く、豊かにするための支援をしている。日本全国1億人以上に利用されているからこそ、我々にしかできないことがあるという、強い意志で取り組んでいる」と説明する。

LINEヤフー 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCEO 池端由基氏

 同社のプロダクトで、そのつながりの中心となるのが「LINE公式アカウント」だ。これまでも、同サービスを通じて、企業や店舗を顧客とつなげてきた。

 このつながりを、本当の友だちのような関係性に昇華させるには、友だちをよく知り、もてなすのと同様に、顧客データを収集・分析して、顧客体験につなげる必要があるという。

 このような考えを実現するのが、2023年10月に発表された「Connect One構想」である。LINEヤフーが持つさまざまなアセットを、LINE公式アカウントを中核に連携させることで、ユーザーとのつながりから、マーケティング、コマース、DX、データの分析や活用まで、ひとつのプラットフォーム上で提供するという構想だ。その実現に向け、各プロダクトのアップデートを進めている。

Connect One構想の概要

 ここからは、LINEヤフーの上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPOである二木祥平氏より、Connect One構想の実現に向けた、「顧客接点の強化」「顧客体験の向上」「データ活用基盤の充実」という3つの領域での、各プロダクトのアップデートが披露された。

LINEヤフー 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPO 二木祥平氏

Connect One構想の実現に向けた各領域でのアップデート

顧客接点の強化:Yahoo!との統合で接点増加、プロモーション絵文字や友達紹介クーポンなども予定

 最初は、顧客接点に関する各プロダクトのアップデートだ。

 Connect One構想の中核となるLINE公式アカウントは、2012年にリリース。最近ではCookieレス時代に向けた代替ツールとして、さらに利用が拡大しているという。

 LINE公式アカウントからユーザーとつながる手段は多岐にわたるが、LINEヤフーになり、Yahoo! JAPANの各種サービスと連携した新たなつながりが生まれている。例えば、Yahoo!検索の結果やYahoo!プレイス、Yahoo!マップから、友達追加ボタンを実装できるようになった。

 2024年内には、LINE公式アカウントの情報が各サービスに表示されるようになる。ウォレットタブでは、LINE公式アカウントに基づく地図情報やお知らせ情報が表示され、Yahoo!プレイスのクーポンでは、LINE公式アカウントのクーポン情報も表示される。

LINE公式アカウントの情報がさまざまなサービスに

 月間8200万人が利用するLINEスタンプも、LINEでのコミュニケーションに欠かせないプロダクトだ。これまで法人向けサービスとしては、企業が無償または条件つきでスタンプを配布できる「LINEプロモーションスタンプ」を展開してきた。「一度実施すると約200万人の友だちを集められる強力なツールだが、低予算で試したいという声もあった」と二木氏。

 そこで、2023年12月に、低予算(最低出稿金額1万2500円から)からスタンプを配布できる「LINE PRスタンプ」を開始した。今後は企業が絵文字を配布できる「LINEプロモーション絵文字」も加わる予定だ。

LINE PRスタンプ

LINEプロモーション絵文字

 「LINE公式アカウントで最も利用されている」というのが、クーポン機能だ。2024年8月以降には、友だち同士でクーポンや店舗・サービスの認知を拡げていく「友達紹介クーポン」機能が提供される。対象のLINE公式アカウントと友だちになっているユーザーからの紹介を受け、送られたユーザーが新たに友だち追加すると、双方がクーポンを得られる機能だ。

友達紹介クーポン

顧客体験の向上:LINEミニアプリは、認証を条件としたより高度な機能を年内に

 続いて、顧客体験に関するプロダクトのアップデートが紹介された。

 同領域で成長を続けるのが「LINEミニアプリ」である。LINE上に用意したアプリを通じて、店舗や施設運用などに役立つ機能を提供する仕組みで、ダウンロードや会員登録などの煩雑な手続きを必要としないのが特徴だ。2020年のリリース以降、アプリの数は1万4000個を超え、MAU(月間アクティブユーザー)は1000万人に届こうとしている。

 パートナー数の増加とあわせてアプリの機能も多様化しており、会員証からモバイルオーダー、順番待ち、処方箋の受け取りなど、さまざまなユースケースに対応する。

MIYASHITA PARKではキッチンカーも展開され、モバイルオーダーでの注文も体験できる

 LINEミニアプリは、2024年内には審査なしで始められるようになる。さらには、認証することを条件に、LINEアプリ内のアクセス導線の強化やアプリ内課金機能など、より顧客体験を拡げる高度な機能も提供される予定だ。

2024年内に予定する認証を条件とした高度な機能の提供

 「LINEで予約」は、LINE上で店舗の予約ができるサービスだ。「新規の集客目的はもちろん、予約されたデータがLINE IDに紐づくため、再来店のためのキャンペーンも打てる。月間の予約数は昨年比144%と急速に伸びている」と二木氏。

 串カツ田中では、LINEで予約やLINEミニアプリのモバイルオーダーを利用しており、LINE公式アカウントの友だち数は384万人に増え、全体の予約数は133%にアップ。モバイルオーダーの活用によって人件費率も2.8%改善されたという。

 またカラオケ館では、LINEで予約を導入したことで、電話予約の問い合わせが減少した一方で、予約数は昨年比4.5倍に増加。モバイルオーダーも、直営店128店舗を対象に順次導入を進めている。

カラオケ館でもLINEで予約に加えてモバイルオーダーを展開

 LINE公式アカウントのメッセージ周りも強化される。2024年9月以降に提供されるのが「きっかけメッセージ」の機能だ。任意のタイミングでメッセージを自動配信するステップ配信の“トリガー”を拡大し、ユーザーの情報や行動に対応する。例えば、LINE上で登録されている誕生日のデータを基に、クーポンを配信することなどが可能だ。

きっかけメッセージ

データ活用基盤の充実:Yahoo! JAPANとの統合が着々と

 最後に、データ活用基盤のアップデートだ。二木氏は、相手をよく知る上ではデータの質が大切だといい、「ChromeのサードパーティCookieのサポート終了を受け、ますます重要になってきた」と強調する。

 これまでLINEでは、基本の属性データおよび公式アカウントや広告、LINEで予約などの各種サービスのデータが活用可能であった。ID連携することで、企業の持つファーストパーティデータも連携できる。

 さらに、LINEヤフーになったことで、ヤフーの検索データや広告データなども対象に加わる。そのために進めているのが、Yahoo! JAPANとLINEのユーザーアカウント連携であり、現在連携数は約2500万と順調に進捗しているという。

データソースがYahoo! JAPANのサービスにまで拡がる

 実際に、LINE公式アカウントやLINE広告への、Yahoo! JAPANのデータを利用した配信は、2024年から開始しており、データ管理プラットフォームの「ビジネスマネージャー」を通じて、既に136のアカウントがデータの横断活用を開始している。

 ある教育関連企業では、Yahoo! JAPANのライフイベントのデータを利用し、LINE公式アカウントで中学生向け商材の無料体験を募集するメッセージを配信。自社データと比較して、クリック率は2.3倍に、さらに申込単価を45%低減できたという。

 二木氏は、「LINE公式アカウントを中心としながら、皆さまとお客様のつながりを、ただのお友だちではなく、よりよいグッドなフレンズにしていく、そのサポートを本構想によって実現していきたい」と締めくくった。

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