狙うはハッキリとZ世代
動き始めているトレンド“Newtro”ブームに乗る考え
なぜビール会社が携帯電話を、と思ったが、ハイネケンのサイトを見ると納得した。スマートフォンは、ビール会社にとっては必ずしも心地よい存在ではないのだ。
バーやパブのような場所で「一杯やろう」とビールを飲むときも、手元にあるスマートフォンに注意が逸れてしまうことがある。「スマートフォンはおもしろすぎる。ハイネケンが携帯電話を作るなら、ビールを飲むというソーシャルな場と競争しないものであるべき」。Boring Phoneに関わったハイネケンの広告代理店Publicisの担当者は、LinkedInで狙いを説明している。
Boring Phoneを手にビールを飲むのであれば、InstagramやTikTokなどのデジタルのソーシャルを忘れて、仲間とビールを楽しむリアルのソーシャルライフが戻ってくるということだろう。
”フィーチャーフォンならお手のもの”のHMD。2017年からはNokiaブランドでデバイスを製造してきたが、2024年に入り自社ブランドの端末も加えていくことを発表している。2月のMWCでは、Mattelと提携してバービーフォンを開発していることも明らかにした。バービーフォンの情報は現時点で開示されていないが、色はピンク。折りたたみ式の”退屈な”電話になると予想されている。
気になるのは、このようなフィーチャーフォンのニーズだ。HMDはNokiaの「Nokia 3310」などのリメイクを行なっているが、果たして需要はあるのだろうか?
ハイネケンやバービーは、明確にZ世代をターゲットにしているという。このようなレトロブームは”新しい(New)”と"レトロ(retro)"を組み合わせた造語「Newtro」というのだそうだ。実際、若者の間でレコードが流行したり、「写るんです」が若者でブームになっている。体験した人からすると退屈なものが、体験していない人には新鮮に映るのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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