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新MacBook Pro/iMac登場! Appleシリコンの性能は「M3」で新段階に! 第18回

【レビュー】これ以上待つ理由がない完成形 M3搭載MacBook Air

2024年04月17日 08時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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M1〜M3モデルの電源スペック比較

電源まわりのスペックは変わらないが消費電力はやや増えた?

 バッテリーや電源アダプターなど、電源まわりのスペックについても、M2とM3搭載モデルで違いは認められない。内蔵バッテリーの容量は、13インチモデルが52.6Wh、15インチモデルは、それより26%ほど多い66.5Whとなる。

10コアGPUモデルに付属するデュアルUSB-Cポート搭載の35W電源アダプターと、本体色とコーディネートされた電源ケーブル

 M2以降のMacBook Airに付属する電源アダプターの出力は、GPUのコア数に連動している。つまり、8コアモデルは30W、10コアモデルは35Wのデュアルポートとなる。ただし、13インチの8コアモデルでも、ストアでのカスタマイズによって、プラス3000円で35Wのアダプターが選べる。

 試用したモデルのGPUは10コアなので、USB-Cの出力ポートが2つある35Wのアダプターが付属していた。Mag Safe 3対応の電源ケーブルは、本体とカラーコーディネートされていて、いつもながら芸が細かい。

 これもM2時代と同じだが、公式ストアのオプションでは、70Wの電源アダプターを選択することも可能だ。アダプターは大きく、重くなるが、充電時間は確実に短縮できる。自宅やオフィスでしか充電しないという人には魅力的なオプションだろう。金額は、8コアGPUモデルならプラス3000円、15インチモデルを含む10コアGPUならプラス0円だ。

 電源まわりでいちばん気になるのは、やはりバッテリーの持続時間だろう。仕様上は、ムービー再生18時間、ワイヤレスインターネットが15時間という数字が示されている。この数字はM1時代から、チップの世代にかかわらず、また画面サイズにもかかわらず、すべてのMacBook Airで同一で、理論値にしてもあまり信用できない感じだ。

 そこでいつものように、YouTubeのビデオをWi-Fi経由で連続再生するテストを実行した。フル充電状態で再生を開始してから残量が0%になって強制スリープするまでの時間を計測する。条件もこれまでと同じで、画面の明るさをオンスクリーンのインジケーターで6コマ分に調整し、Safariでアップルのイベントビデオのプレイリストをフル画面表示で連続再生している。

歴代のMacBook AirモデルのYouTube連続再生時間

 結果を、M1、13インチのM2、15インチのM2、そして今回の13インチM3の各MacBook Airで比較しよう。

 M2では、M1に比べて同程度の負荷に対する消費電力がかなり減少していたと考えられ、連続再生時間は20時間弱から28時間前後にまで延びている。M3ではさらに減少するのではと期待していたが、逆に増加したようだ。同じM2の13インチモデルと比べると、わずかに連続再生時間が短くなり、25時間半程度となった。それでも丸々一日以上連続で使えるのだから、特に不満はないだろう。

 バッテリーが空の状態(強制スリープした後の状態)から、フル充電状態(100%)になるまでの充電時間も比較する。

バッテリーが空の状態からフル充電になるまでに要する時間

 電源アダプターは、M1が30W、M2とM3は35Wだが、M3のみは、付属の35Wに加えてMacBook Pro用の96Wでもテストした。96Wでは、35Wの3割近くも充電時間が短縮された。今回はAir用オプションの70Wアダプターを用意できなかったが、70Wでも、96Wとほぼ同じような結果になるのではないかと予想している。

 MacBookのバッテリー充電時間は、ばらつきが比較的大きい。35Wのアダプターによる充電でも、M2の13インチだけが短くなっているのは、おそらくそれもあると考えられる。また、MacBook Airに限らずMacBookでは、99%になってから100%になるまでの時間が長く、このM3モデルも、35Wでは20分弱、96Wでは10分強かかっている。残量表示が99%でも構わないなら、このグラフに示したよりも短い時間で、ほぼフル充電できるわけだ。

今なら同じ13インチのM2モデルも選べるが……

 いつまで販売が継続するかはわからないが、現状ではM3モデルが登場した後も13インチのみ、旧世代のM2モデルが併売されている。もちろん最新のM3モデルに比べて安価となっている。

 最も安価な8コアCPU、8コアGPU、8GBメモリ、256GBストレージで比べると、M2モデルが14万8800円、M3モデルは16万4800円で、その差は1万6000円だ。また、8コアCPU、10コアGPU、8GBメモリ、512GBストレージでは、M2モデルが17万8800円、M3モデルは19万4800円となり、差は同じ1万6000円だ。これを大きいと見るか、小さいと見るかは、想定している予算にもよるだろう。しかし、どうせ20万円近くするものを買うのだから、その金額の1割以下の差なら、より高性能となった新しいM3モデルの方がお勧めだ。

 今回取り上げたスペックの範囲では、2台まで使えるようになった外部モニターくらいしかメリットが感じられないかもしれないが、別記事でお届けするベンチマークテスト結果を見れば、やはりM3にすべきだと確信できるだろう。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 

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