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新MacBook Pro/iMac登場! Appleシリコンの性能は「M3」で新段階に! 第18回

【レビュー】これ以上待つ理由がない完成形 M3搭載MacBook Air

2024年04月17日 08時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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M1〜M3チップのスペック比較

Mシリーズチップの性能向上は頭打ちなのか?

 すでに示した外観の仕様を見る限り、M2、M3搭載モデル間の違いは、ほとんどというよりもまったくないと言える。また、後で見るように、基本的な機能はもちろん、拡張ポートの構成についても、ほとんど違いはない。M2搭載モデルとの違いは、M2とM3の性能の差が焦点となる。

 MacBook Airの実際の性能については、本稿の続編として予定しているベンチマークテスト結果と考察の記事で改めて詳しく述べることにして、ここではM2とM3のスペック上の違いを確認しておこう。

 ここでも単純な数字に現れる違いは、さほど大きくないことに気付く。まずCPUのコア数は、M1からM3まですべて8で、内訳も高性能コアが4つと高効率コアが4つで同じだ。もちろん、だからといってCPU性能が同じということにはならない。M1、M2、M3では、1つのCPUコアの性能自体が進化しているからだ。

 GPUのコア数にも大きな違いはない。M1モデルは7または8コアを選択できたのに対し、M2、M3の13インチモデルは8または10の選択となっている。また、両15インチモデルでは10に固定される。ここでも、GPUコア数が同じなら性能も同じとはならない。それは、M1からM3まで、16コアのNeural Engineについても言えるだろう。

 M2とM3のはっきりした違いは、M1では装備のなかったメディアエンジンに現れている。M3では、サポートするコーデックにAV1が加わっているのだ。ただし、ハードウェアによるエンコードはサポートしておらず、デコードのみとなっている。同様に、M3のみの機能として、ハードウェアによるレイトレーシングのサポートが加わっているが、これはレイトレーシングによる3Dグラフィックの描画以外には効果はなさそうで、それを利用できるかどうかもアプリケーションに依存するはずだ。

 ほとんどチップと一体となっているメモリについては、M1とM2以降で大きな進歩がみられるものの、M2とM3ではスペック上の変化はない。メモリの帯域幅は、M1の68.25 GB/sが、M2以降では100 GB/sとなったことが仕様にも明記され、最大容量もM1の16GBから24GBに拡張されている。

 このようなスペックだけを見ていると、やはりM2とM3では性能的に頭打ちになっているのではないかという疑問がわいてくる。実際にアップルの公式ウェブサイトにある製品紹介ページ(https://www.apple.com/jp/macbook-air/)にある「M3チップの中身を見る」をクリックして開くと、MacBook Airの「以前のモデルとの比較」がグラフとして表示される。そこでは「ビデオ編集」「イメージフィルタとエフェクト」「ゲーム」「3Dレンダリング」「AIによる画像のアップスケーリング」の性能を比較している。

アップルが公開する歴代のMacBook Airの性能比較グラフ「ビデオ編集」

 たとえば、「ビデオ編集」を見ると、クアッドコアのIntel Core i7搭載13インチモデルに比べて、M3搭載13インチモデルは、13倍の性能を発揮するとしている。

 ちなみに、「イメージフィルタとエフェクト」では2.8倍(Core i7基準)、「ゲーム」では1.6倍(M1搭載機基準)、「3Dレンダリング」は5.8倍(M1搭載機基準)、「AIによる画像のアップスケーリング」は14.9倍(Core i7基準)となっている。処理の種類によって性能の比率に大きな違いがあるのは興味深いが、いずれにしても頼もしい数字が並んでいる。

 ただし、上のグラフを見てもわかるように、M1やM2との性能差が小さいものがあるのは気になる。このあたりを見ると、M3のCPU性能は、M2と比べて、それほど大きく進化していないのではないかという疑問も浮かんでくる。

アップルが公開する歴代のMacBook Airの性能比較グラフ「3Dレンダリング」

 その一方で、「3Dレンダリング」は、M1と比べて5.8倍、数字は示されていないがM2と比べても5倍程度の結果となっている。

 上記の製品紹介ページの脚注を読むと、この差はハードウェアによるレイトレーシングのサポートの有無から生じているようだ。今のところ市販のアプリではなく、テスト用のプログラムによる結果のようだが、M3が新しい大きなポテンシャルを秘めていることが十分にうかがえる。

 macOSに標準装備されているものや、実際にApp Storeから入手可能なアプリケーションを使ったテスト結果は、すでに述べたように別途公開する実際のベンチマークテストで検証することにしよう。

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