一般課税でインボイスの事務負担がラクになる「少額特例」
2割特例や簡易課税を使わない場合、一般課税(本則課税)で消費税額を算出します。
納税額=課税売上の消費税額―実際の仕入・経費にかかった消費税
一般課税では、取引を標準税率(10%)と軽減税率(8%)、非課税などに分け、消費税と地方消費税に分けてそれぞれ計算します。
インボイス制度の導入で、取引先がインボイス発行者でなければ仕入税額控除が受けられなくなりました。そのため、仕入れや経費として支払った取引先の適格請求書(インボイス)などが必要です。
2023年10月以降に受け取った請求書や領収書、レシートなどは登録番号や税率ごとに区分した消費税額などの記載などの要件を満たしたインボイスでなければ、経費にかかった消費税を仕入税額控除として差し引くことができません。また、記載されている登録番号が間違っている場合も仕入税額控除が受けられないので、番号が正しいかどうかの確認が必要です。
登録番号は、適格請求書発行事業者サイトや法人番号公表サイトで調べることができます。
こまごまとした支払いについて、すべての登録番号を確認するのは大変です。そこで、6年間の経過措置として、税込み1万円未満の支出についてはインボイスの保存が免除される「少額特例」が用意されています(参考:少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要(国税庁))。
2年前の売上が1億円以下、または1年前の上半期の売上が5千万円以下の事業者が対象で、2029年9月30日までの期間に適用されます。
2割特例と簡易課税、会計ソフトをうまく利用して申告を乗り切ろう
インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった人は、当面は2割特例を使うのが簡単で税負担も少なくおすすめです。ただし、2割特例は3年間の期間限定で、2年前の売上が1000万円以下の事業者が対象です。将来的に、簡易課税制度を利用するなら届け出の準備、一般課税に挑戦するならインボイスに対応した会計ソフトの導入を進めておきましょう。
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