東京都江東区にある大規模分譲マンション「亀戸レジデンス」にて、住民向けEV試乗会が開催されました。なぜ住民向けなのかというと、このマンションの全駐車場(427区画)に、充電用コンセントが取り付けられたからです。どのようなものか、ご紹介しましょう。
すべての駐車場にEV充電器を設置
全707戸の亀戸レジデンスは、2008年11月に分譲を開始し、今年で築16年。427区画ある自走式駐車場を取り囲むように、17階建ての居住棟が5棟立ち並びます。つまり半数以上の世帯がクルマを所有できるという、都心では珍しいマンションです。
マンションの中には共有地に急速充電器を設置する例はありますが、使い勝手や利便性を考えると、すべての駐車枠に通常充電設備を持つ方が勝ります。そこで亀戸レジデンスの管理組合は、今後の資産価値と住環境向上を考えた結果、すべての駐車場区画にユビ電の個別充電サービス「WeCharge」の導入を決意したそうです。
ユビ電としては、同等規模を新築の駐車場に設置したことはあったそうですが、後から取り付けるのは初めてのこと。施工は約半年かかり、機材設置よりも前の計画段階が重要だったとのこと。「どの時間帯に駐車場を利用されているのか、という調査であったり、工事中は駐車枠が使えませんので、車両をどこに移動してもらうか、ということの調整が大変でした」と担当者は語ります。そこが新築とは最も異なるところでしょう。
気になる費用は1.8億円! そのうち1.5億円は補助金で賄われ、残り3000万円はWeCharge側が負担したとのこと。つまりマンション側の持ち出しはゼロというから驚きです。ユビ電が3000万円負担したのは、長期的にみて利用者が増えれば回収できるという考えがあったからでしょう。
WeChargeの充電システムを解説
それでは実際にWeChargeのシステムについてご紹介しましょう。すべての駐車枠にはWeChargeのシールが貼られた200Vのコンセントが設けられています。オーナーは車両とコンセントを車両付属の専用ケーブルで接続。続いてシールにあるQRコードを専用アプリをインストールしたスマホで読み込み、スマホ側で充電開始をするだけ。
料金は利用者がWeCharge側に支払うため、管理組合がまとめて徴収するといった必要はありません。料金はスマホの通話料と同じ「無料充電分を含む基本使用料」に、必要に応じて「従量料金」を加算して支払う仕組み。料金プランはマンション全体で1プランではなく、個人それぞれのカーライフに合わせて設定できます。
分電盤の中をみせてもらうと、駐車枠ごとに設けられた子ブレーカーがズラリ。そのブレーカーの前にはスマートメーターのような機械があり、SIMカードを内蔵したコントローラーによって、通電がオンオフされているようです。現在は3kW出力でサービスされていますが、配線的には6kWまで対応できるとのこと。
敷設工事前、電気自動車は2台ほどしかなかったそうですが、工事が始まってから、電気自動車を注文された方もいらっしゃるのだとか。やはり充電設備がないと、補助金が出るとしても電気自動車は購入の選択肢に入らないようです。
ユビ電は今後も、都市部の集合住宅へのEV充電インフラ整備を推進していくとのこと。「EV普及と脱炭素社会の実現に貢献します」と力強く語りました。