北九州市、本気のスタートアップ支援 ものづくりの力で世界に挑む
令和5年度北九州市スタートアップ支援5事業(SEP-K)合同イベントレポート
提供: 北九州市
北九州市からユニコーン企業を、「地方から世界へとはばたくスタートアップの創出」
トークセッション「地方から世界で羽ばたくスタートアップの創出」では、地方から世界に羽ばたくスタートアップを創出する方法について議論が展開された。
パネリストとして、北九州でスタートアップの支援や投資をしている株式会社みらい創造機構 代表取締役社長の岡田祐之氏、日本ベンチャーキャピタル株式会社でシニアパートナーを務める照沼大氏、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ取締役副社長の山口泰久氏の3氏が登壇。モデレーターは北九州市官民連携ディレクターの山本遼太郎氏が務めた。
── 北九州のスタートアップをどう見ているか?
岡田氏(以下、敬称略):東京と北九州市を拠点にするような地方のスタートアップは、両者に異なる魅力があると感じる。東京のスタートアップは、グローバルな社会トレンドや先端テクノロジーから発想し、ビジネスを展開する。
一方、地方のスタートアップは地方特有の課題や、その地域が強みとする産業からビジネスを発案し、領域次第ではグローバルに展開しているように見受けられる。
照沼氏(以下、敬称略):これまで福岡で12社のスタートアップを支援してきた。20年前は東京に本社を置く企業が多かったが、減ってきた。福岡はスタートアップが盛んな地域になっている。
山口氏(以下、敬称略):北九州市も福岡市もスタートアップ先進都市を掲げている。実際に、東京のベンチャー企業は第2の拠点に福岡市か北九州市を候補に挙げている。それだけ福岡が目立ってきている。
── 世界に羽ばたくスタートアップを創出するために、どのような支援を提供していくべきか。
山口:言語の壁を乗り越えられる支援が必要だ。特にスタートアップの海外展開には英語が必須。最近、福岡県のスタートアップの中には、従業員の多国籍化を進めている企業もあると聞く。
外国人はもちろん海外でインターン経験のある学生や帰国子女など、英語で海外マーケットに対して自社のプロダクトを売り込める人材や、現地で採用活動ができる人材を採用できるようサポートしていきたい。
照沼:既にグローバルな販路がある日本の大企業とのコネクションを提供したい。縁もゆかりもない外国で、新たにビジネスを展開することは難易度が非常に高いためだ。私の身近でも、とあるITスタートアップが海外に支店を展開したものの撤退せざるを得なくなり、社長が退任したケースがある。
海外投資家からの知名度が都市部のスタートアップに比べて低い北九州市のものづくりメーカーが海外進出を目指すのであれば、大手企業と販路や研究開発の面で、共創することは必須である。
── 最後に、スタートアップ支援5事業を展開していくうえで重要なことは。
山口:海外進出の支援がプログラムに含まれているからには、海外の起業家や投資家を招いて英語でイベントを開催するなど、北九州市の支援者側が英語や外国人との交流に慣れる必要がある。まずは小規模なイベントからでも、北九州市の職員やアクセラレーションプログラムに携わる支援者たちで、企画していきたい。
岡田:日本のスタートアップを海外に進出させる支援に注目が集まりがちだが、日本のマーケットに進出したい企業との連携にも目を向けていくべきだと考えている。
海外に送り出すだけではなく、海外からも受け入れることで現地とのコネクションを構築し、そのつながりを生かして国内スタートアップを海外に進出させるやり方もある。
ただし、一朝一夕で関係構築は不可能であるため、受け入れることと送り出すことを中長期的に繰り返していく。これに北九州市が、市を挙げて取り組むことが重要だ。