北九州市、本気のスタートアップ支援 ものづくりの力で世界に挑む
令和5年度北九州市スタートアップ支援5事業(SEP-K)合同イベントレポート
提供: 北九州市
実証に補助金や伴走支援を提供する「SIT-K【実証支援】」
「スタートアップSDGsイノベーショントライアル事業(SIT-K)【実証支援】」は、北九州市で実証実験をするスタートアップに対し、最大250万円の補助金や実証フィールド、産官学金が連携した伴走支援などを提供するプログラムだ。
ここからはSIT-Kに採択された6社が、北九州市を舞台にどのような実証に取り組むのか、その先にどのような社会を実現していきたいのかについて語ったピッチの模様をお伝えする。
インフラの取り巻く環境を「IBIS」で解決
Liberawareはドローンを製作するスタートアップだ。施設の維持管理において、危険で過酷な環境が多く、高齢化や施設の老朽化などの課題もある。Liberawareは、屋内用の小型ドローン「IBIS」を開発し、屋内施設の点検や動画分析を提供している。
「IBIS」の特徴は、暗所や粉塵などさまざまな環境下でも安定した作業が可能なところだ。これまでにインフラ業界の200社に導入されている。今後、「IBIS」でコンクリート片を除去する技術の活用を目指す。
電気やガスの削減をするソフトウェアを提供
Azendian Solutionsはビルの電気やガスの管理を行うシンガポールの企業だ。電気やガスの使用量を削減する管理デバイス「エッジPC」を設置し、クラウド上で空調などをコントロールする。
初期投資はなく、空調の削減した金額の半分が売上になるビジネスモデルだ。実際にシンガポール国内で導入している企業も多いという。今後、日本国内でも導入企業を探していきたいと語る。
イノシシやクマなどの鳥獣対策をする
Zero To Infinityは「挑戦者が少ない社会課題を、当事者と楽しみながら、技術で解決する」ことをビジョンに鳥獣対策を実施している。鳥獣による農業被害は約200億円と言われている。
一般的な鳥獣対策は、ネットやレーザーなどを置いてクマやイノシシなどの対策を行う。Zero To InfinityではAIのエッジカメラを用いた動画撮影を行い、動物の生息域を調べ、鳥獣対策を立てる。
実際に群馬県嬬恋村でツキノワグマの対策を実施し、100万円以上あった農業被害を防ぐことができた。今後、ドローンやAIエッジカメラを使った生息域調査と対策を予定している。
においセンシングでデバイスを開発
レボーンは、においセンシングデバイスやマルチポート噴霧装置などを開発している。画像やにおいからガスの種類を検知することが可能。これらの技術を活用し、公衆トイレの不快な臭いを和らげる取り組みをしている。
公衆トイレには衛生環境維持や地域イメージの向上などの課題がある。レボーンは、においセンサーを活用し、においに応じた適切な薬剤を散布する取り組みを考えている。今後、さまざまな角度から効果検証を進めていく。
オンラインの仮設待合室「Match AI」で過剰なサーバーコスト抑制を図る
寶結は人の営みをデザインするDXベンチャーだ。コロナ禍を経てオンラインサービスの利用者が増えている。一方、サーバーの性能や人的リソースの不足が原因で、サービスがパンクし利用できないケースもある。
寶結は、仮想待合室「Match AI」を開発し、公平なアクセス体験の提供や過剰なサーバーコストの抑制を図る。今後、北九州市の観光につながるオンラインイベントを開催し、サービスの検証を進める。
特定技能外国人の自立支援をする「Laporter」を提供
アシストは特定技能外国人を雇用する企業の自立支援をサポートするクラウドサービスを提供している。日本の労働人口は減少し続け、減少した部分を外国人労働者が補っている現状がある。2015年と比べ2倍に増えている。
これらの問題を解決するために、特定技能外国人の自立支援をサポートする「Laporter」を開発。外食業の会社で実証実験を開始している。今後、外国人人材の活用と多文化共生社会の実現への貢献を目指す。