核融合科学研究所と東京大学の共同研究グループは、人工磁気圏を作り出す磁気圏型プラズマ実験装置「Ring Trap 1(RT-1)」を使った実験研究により、双極子(ダイポール)磁場中のプラズマが「コーラス放射」を自発的に作り出すことを発見。コーラス放射が発生するために必要な条件を明らかにした。人間の可聴域の周波数帯の自然電磁波を放出するコーラス放射は、地球や木星などの惑星の磁気圏で観測される一般的な現象であり、今回の成果は、宇宙と実験室のプラズマに共通した物理機構の解明に役立つことが期待される。
核融合科学研究所と東京大学の共同研究グループは、人工磁気圏を作り出す磁気圏型プラズマ実験装置「Ring Trap 1(RT-1)」を使った実験研究により、双極子(ダイポール)磁場中のプラズマが「コーラス放射」を自発的に作り出すことを発見。コーラス放射が発生するために必要な条件を明らかにした。人間の可聴域の周波数帯の自然電磁波を放出するコーラス放射は、地球や木星などの惑星の磁気圏で観測される一般的な現象であり、今回の成果は、宇宙と実験室のプラズマに共通した物理機構の解明に役立つことが期待される。 研究チームは今回、様々な状態のプラズマを作り、磁場や電場の波がどのように発生するかを調査。その結果、プラズマの中に高いエネルギーを持つ高温電子が存在する時、プラズマが自発的にコーラス放射状のホイッスラー波(磁力線に沿って伝搬する電磁波)を作り出すことが明らかになった。 同チームはさらに、コーラス放射の発生とプラズマの密度および高温電子の状態に注目して、プラズマが作るコーラス放射の波の強さと発生頻度を計測した。その結果、放射の発生はプラズマの圧力を担う高温電子の増大により駆動され、さらに、プラズマ全体の密度を向上させることでコーラス放射の発生を抑制する効果があることが分かった。 研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2024年2月15日付で掲載された。(中條)