Chromebookというと手間、費用ともに導入コストが低いというメリットがある。一方で、安価な製品に処理能力の高くないプロセッサーが搭載されていることもあり、もっさりしているという印象を抱いている方も多いのではないだろうか?
ASUSの新型マシン「Chromebook Plus CM34 Flip」は上位モデルに「Ryzen 5 7520C」を搭載。軽量な「ChromeOS」を爆速で動作させるカッ飛びマシンである。
ASUSから試用機を借用したので、詳細スペック、使い勝手、パフォーマンスなどについてレビューをお届けしよう。
SoCの異なる2モデルを用意
本体内にスタイラスペンを内蔵
「Chromebook Plus CM34 Flip (CM3401)」はOSに「ChromeOS」、プロセッサー(SoC)に「Ryzen 3 7320C」(4コア、8スレッド、最大4.1GHz、15W)/「Ryzen 5 7520C」(4コア、8スレッド、最大4.3GHz、15W)を採用。どちらのSoCもiGPU「AMD Radeon 610M」を内蔵している。
メモリー(RAM)は8GB(LPDDR5-5500)、ストレージは128GB(PCIe Gen3 x4接続SSD)を搭載。用意されているのはSoCの異なる2モデルで、価格はRyzen 3 7320C搭載機「CM3401FFA-LZ0194」が7万9800円、Ryzen 5 7520C搭載機「CM3401FFA-LZ0211」が10万4800円だ。
ディスプレーは14型WUXGA液晶(1920×1200ドット、16:10、タッチ対応、ペン対応、グレア)を搭載。ディスプレー上部には、プライバシーシャッター付き207万画素ウェブカメラ、アレイマイクを内蔵。Harman Kardonと協業したスピーカーは1W×2のステレオ仕様だ。
インターフェースは、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI 2.1×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.3をサポートしている。
本体サイズは319.6×235.2×20.7mm、重量は約1.85kg。63Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵。ACアダプターは容量45W。バッテリー駆動時間は約14.5時間、充電時間は約2.9時間と謳われている。
ディスプレーが回転して4つのスタイルに変形
リフトヒンジによりタイピングしやすいキーボード
本製品は360°回転エルゴリフトヒンジによりディスプレーが回転する2 in 1 PCスタイルのChromebookだ。左側面にはスタイラスペン(ASUS USI Pen)が内蔵されている。ペンやカバーなどを別途購入する必要なく、本体だけの導入費用で完結するのがアドバンテージだ。
スタイラスペン「ASUS USI Pen」は4096段階の筆圧検知に対応しており、イラストを描くのにも利用できる。またスロットに装着すれば、15秒の充電で最大約45分間使用可能。普段ペンをスロットに仕舞っておけば、充電を意識する必要はほぼない。
キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは1.4mmが確保されており、キーボード面、パームレストの剛性も高い。またディスプレーを開くとエルゴリフトヒンジにより、キーボードに適度な傾斜ができる。もちろん配列は日本語仕様で、バックライトも内蔵。フルスピードでテキスト入力できるキーボードだ。
14型WUXGA液晶(1920×1200ドット)の詳細なスペックは公開されていないが、強化ガラスがグレア(光沢)仕様なので鮮やかな色合いがそのまま表示される。また3辺狭額ベゼルにより画面への没入感も高い。写真や動画の編集作業を快適にこなせるディスプレークオリティーだ。
ディスプレー上部の207万画素ウェブカメラはプライバシーシャッター付き。閉じていることを派手な「赤丸」で確認できるので、使用時の安心感が高い。画質もビデオ会議用とであれば十分実用レベルだ。
ベンチマークテストでは
Snapdragon 8 Gen 1相当のマルチコア性能を記録
今回、4コア、8スレッド、最大4.3GHz動作の「Ryzen 5 7520C」を搭載した上位モデルを試用している。定番ベンチマークを実施したところ、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは3834、Single-Core Scoreは1237、GPU Vulkan Scoreは5529、「3DMark」のWild Life Extremeは707、「AI Benchmark」のDevice AI Scoreは84.2となった。
ちなみにGeekbench 6のランキングチャート「Geekbench Android Benchmark Chart」によると、「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1」を搭載する「Motorola Moto Edge X30」はMulti-Core Scoreで3855を記録している。SoCのマルチコア性能としてはこのクラスと同等というわけだ。
バッテリー駆動時間についてはディスプレー輝度、ボリューム100%でYouTubeを120分間連続再生したところ、バッテリー残量は100%から78%に減っていた。つまり単純計算でバッテリー残量0%までであれば、9時間5分動作するということになる。
メインマシンとして使い倒せる
パワー系Chromebookの最有力候補
本製品は、「Ryzen 3 7320C」、「Ryzen 5 7520C」を搭載することで軽量な「ChromeOS」を快適に動作させられるパフォーマンスを実現している。
360°回転エルゴリフトヒンジによる変形機構、打鍵感のいい日本語キーボード、本体内に収納できるスタイラスペンなどのハードウェアとしての作りも、ASUSならではの仕上がりだ。最大輝度で9時間超えのバッテリー駆動時間はモバイル用途にも十二分だ。
メインマシンとして使い倒せるChromebookを求めているのであれば、「Chromebook Plus CM34 Flip (CM3401)」は最有力候補なのである。