Pixelのイヤホンとウォッチが素速くつながる
次はPixelシリーズのワイヤレスイヤホンとスマートウォッチに関わる機能追加です。ノイズキャンセリング機能を搭載するGoogle Pixel Buds ProのBluetoothオーディオのペアリング先を、Pixelシリーズのスマホとタブレットとの間で自動的に切り替える機能は従来からありました。今回のアップデートにより、対象がGoogle Pixel Watchにも広がります。
Pixel Watch 2とPixel 8、Pixel Tabletを揃えて試しました。最初にイヤホンとウォッチのペアリングを済ませておく必要はありますが、以降はスマホ、ウォッチ、タブレットの中でコンテンツの再生を始めたデバイスに音声が自動でつながります。
タブレットやPCで映画を観ている最中、スマホに電話がかかってきた時にワイヤレスイヤホンの自動切り替えが役に立った体験は筆者にもあります。ただ、スマートウォッチで同じことができるメリットはあるのでしょうか?
Pixel Watch 2とPixel Buds Proを接続して、筆者が思いつく用途といえば音楽や通話の音声を聴くことぐらいです。ウォッチがセルラー対応モデルであれば、屋外をジョギング中にPixel Budsと組み合わせて音楽を聴いて、帰宅後はPixelスマートフォンに切り替えて通話や動画の音声リスニングに使うといった機会が比較的よく訪れそうです。
アップルのAirPodsシリーズも、いったんApple Watchにペアリングを済ませればiPhone、Macなどアップルデバイスとペアリングの自動切り替えがスムーズにできます。
Pixel版“エアドロ”が「クイック共有」に改名
最後に今回グーグルが発表したアップデートの4つめの機能として「クイック共有」を紹介します。
こちらはAndroidを搭載するデバイス間での無線ファイル共有の名称が、現在の「ニアバイシェア」から「クイック共有」に変わるというものです。詳細はCES 2024にグーグルが出展した際にブースを取材した記事「Androidがもっと便利に! グーグルのデバイス間接続の新機能を解説」にまとめていますので、合わせてご覧ください。
残念ながら筆者が本稿を執筆している2月4日の時点ではまだ、手もとにあるPixelデバイスのファイル共有はニアバイシェアのままだったので、クイック共有の変更点が確認できませんでした。
ただ、CESでグーグルの展示を取材した限りでは、使い勝手が大きく変わることはなさそうです。相手に表示される自分のデバイス名を自由に決めたり、公開設定を「全ユーザー」「連絡先」「自分のデバイス」から選べる仕様もニアバイシェアから引き継がれます。
アップルのデバイスによるエコシステムには「AirDrop」という強力なコンテンツ共有の機能があります。筆者はiPhoneとAndroidを2台持ちしながら、仕事ではMacBookを中心に使っています。クイック共有はChromebookとWindows PCには対応しますが、Macには未対応。Pixelシリーズで撮った写真や動画を、Macにも簡単にクイック共有したいです。アップルとグーグルのどちらかが、相手のエコシステムを正式に受け入れてくれる日が早く来ること祈るばかりです。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。