これから”来る”アートを押さえておきたいなら「Window Gallery in Marunouchi」を見ておいて!
行幸地下ギャラリーでは、3月17日までの間、「Window Gallery in Marunouchi―from AATM」が開催中です。この展示会では、アートアワードトーキョー丸の内(以下、AATM)2023のグランプリ受賞者である浅野克海さん、三菱地所賞受賞の汪汀さんに加え、過去AATMに参加し現在も活躍を続けている4名のアーティストの作品が展示されています。
AATMは、若手アーティストの発掘・育成を目的に2007年から開催しており、2023年で17回目を迎えました。昨年夏の展示会は私も観に行きましたが、丸の内のいくつかのスポットに分かれて作品が展示されていて、あまり身構えず気軽にアート散歩が楽しめてしまう、とても素敵なアートイベントです。展示されているのは若手アーティストの作品ばかりですから、まだ知らなかった新たな才能に出会えるのも魅力です。
●丸の内で無料アート散策! 「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2023」に行ってきた
https://lovewalker.jp/elem/000/004/147/4147712/
AATM2023で若手アーティストの才能の虜になった私としては、今回の展示会も絶対に見に行きたい!ということで、早速行ってきました。
色と形がガラスを突き破りそうなほどの迫力あるアート群
行幸地下ギャラリーに着くと、まず目に入ってきたのは浅野克海さんの作品。
タイトルは「この世界、魂を震わすモノ」。色も形もパワフルな作品です。作品の横の浅見さんのコメントには「厚い絵の具と波状筆致の集積を『エネルギーの技法』と名付け、制作を続ける」とありました。こちらの作品もまさにエネルギーの感じられる作品で、作品が展示されているケースのガラスを突き破ってきそうなほどの勢いを感じられます。
また、作品をよく見ると力強い絵の具のタッチの中に、人物の顔が描かれている部分を見つけることができるので、じっくり見てみてくださいね。
タイトル通り、魂を震わすエネルギーのあるこの作品、ぜひ実際に足を運んで体感してみてください。
プラスチック植物のもつ不気味さを具現化
浅野さんの作品の隣に展示されていたのは、汪汀さんの作品。汪さんは植物の生態系と人間の相互な影響などのリサーチをアートを通じて展開しているそう。今回展示されていたのは「偽自然」という作品。
これは一体何だろう…と興味を惹かれるものの、どことなく奇妙な造形物が並びます。
作品の横の汪さんのコメントには、次のようにありました。
「消費主義は物質の精密さと統一性を求め、本来の母性的な大地を機械的な大地に変えて『偽自然』を生み出している。」
「プラスチック植物などは視覚的には現実に近いが、触れると無機物の集まりであることが分かる。彼らは遠くから偽自然の幻想を忠実に提供している。限りなく現実に近い人工物は、自然の不気味の谷現象を生み出すほどだ。」
この作品は、人間が自然に力を加えて機械的な偽自然に作り変えていく様や、プラスチック植物の持つある種の不気味さなどを具現化しようとした作品なのではないかと感じました。ほかの人の意見も気になるので、今度は友達と見に行って、感想を言い合いたいと思います。
若手アーティスト渾身の作品が行幸地下ギャラリーに集合!
この2人の作品以外にも、AATM出身アーティストの奥村彰一さん、橋本晶子さん、衣真一郎さん、宮林妃奈子さんの作品が展示されています。
大胆な作風に目を奪われるものから、細かな描き込みに見入ってしまうもの、作者の意図を感じ取りたくて足を止めてしまうもの、それぞれ全く異なった作風の作品が並んでいた「Window Gallery in Marunouchi―from AATM」。若手アーティストたちの個性と才能がひしひしと伝わってきました。次はどんな作品に出会えるのか、今から次回のAATM開催が楽しみです。
行幸地下ギャラリーはJR東京駅地下道直結、丸ノ内線の改札を出てすぐの地下展示スペースなので、雨や寒さも気にせずアート鑑賞を楽しめちゃいます。食事やショッピングのついでにも立ち寄りやすいので、ぜひ足を運んで多彩なアートを楽しんでみてください!
Window Gallery in Marunouchi―from AATM
開催日時:2024年1月12日(金)~3月17日(日)11:00~20:00
※最終日は18:00まで
開催場所:行幸地下ギャラリー
主催:三菱地所
文 / オシミリン(LoveWalker編集部)
大阪生まれ。
趣味は読書と写真を撮ること、おいしいものを食べておいしいお酒を飲むこと。