いま、家電量販店のスマホ売り場は「1円スマホの駆け込み需要」で混雑している。
12月27日より電気通信事業法のガイドラインが改定され、スマホに対する割引規制が変更となる。これまで、通信サービスとのセット販売での端末割引は上限2万円まで、ただし端末に帯する割引額には特に規制がなかった。しかし端末に対する割引が禁止されることで「12月27日以降は高くなる」という情報が流れ、家電量販店が一気に販売に力を入れているのだ。
ソフトバンクのiPhone 14が“1円”に
実際に、とある家電量販店でソフトバンクのiPhone 14 128GBをチェックしてみた。
目立つ金額は「1円/月」ということで、まさに「1円スマホ」だ。
よく見てみると、「新トクするサポート」の適用により、24回払いということで支払総額は24円となる。
ここ最近、ソフトバンクは新トクするサポートにおいて新たな金額設定を適用してきた。48回払いのうち、前半の負担は軽く、後半は重いという傾斜配分となっているのだ。
iPhone 14 128GBの場合、1〜24ヵ月目は月1円の支払いだが、25〜48ヵ月は月3989円となる。これにより、2年間で端末を返却すれば実質24円だが、それ以降は月3989円の負担になるという仕組みだ。
ちなみに、通常の価格としては13万7520円の設定となっている。ここに「端末購入割引条件」として1万9776円、「ヨドバシカメラ割引条件」として2万1984円が適用され、合計で「4万1760円」の割引しか適用されていないことになる。
キャリア関係者「割引合戦、しばらく自粛」
12月27日以降の規制変更では、4万円までのスマホは上限2万円、4万円から8万円のスマホは価格の50%まで、8万円以上のスマホは上限4万円の割引が認められることになる。
つまり、iPhoneのように上限4万円の割引しか適用できない12月27日以降であっても、iPhone 14 128GBモデルは、いまと同じ月額1円で売ることが十分可能だということだ。
ただしキャリア関係者によれば、「端末購入補助プログラム」は返却時の下取り価格をいくらにするかが重要となっているが、ここに市場での買取価格以上の値段を設定すると「利益供与(いわゆる割引)と見なされて、総務省に怒られることになりそう。このあたりの金額を今後、どのように設定するか、キャリアとしては悩ましい」と語る。
また、同様に「12月27日以降、販売価格が上がる端末もあれば、一方で、安くなる端末も出てきそう。正直言って、規制が変わったからと言って、すべての端末が値上がりするわけではない」とも話す。
ただ、総務省としては、かなり気合いを入れて今回の規制を導入してきたため、導入直後の27日以降は「どのキャリアも、割引合戦はしばらく自粛して、かなりおとなしくなるのではないか」(関係者)とのことだった。
とはいえ春商戦では「割引合戦」復活?
とはいえ、年が明ければ、学生が新たにスマホデビューするなど、スマホ業界的には「春商戦」という繁忙期に突入することになる。
「いったんは1円スマホが市場から消えるかもしれないが、どこかのキャリアが始めれば、すぐに他社も追随する。競争というのはそういうものだ」(キャリア関係者)。
iPhoneやPixelなど、3キャリアもしくは4キャリアで扱うスマホは自ずと各キャリアでの割引合戦になりがちだ。
総務省としては今回、「転売ヤーを撲滅する」という名目で1円スマホをやめさせようと、ガイドラインの改正に乗り出したが、結局、市場的にはあまり変化はなかったということになりそうだ。
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