ワープスペース、月・地球間の長距離光通信用の高感度センサー開発をJAXAより受託
株式会社ワープスペース
小型衛星を活用した宇宙空間での光通信サービスの実現を目指す株式会社ワープスペース(茨城県つくば市、代表取締役CEO:東 宏充)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)より、月と地球間の長距離光通信を実現に近づける光学素子の開発業務を受託いたしました。
光通信では、まず接続を行う前段として双方の衛星を光学スキャンによって捕捉する必要があります。しかし、40万キロ隔たった月と地球間では光も大きく減衰するため、微弱な光子をも検知できる超高感度センサーが必要となります。
このセンサー(InGaAs四分割アバランシェフォトダイオード)については既にプロトタイプの開発を終えており、顕著な性能を示しました。更に現実的な要件を満たすため、今回の開発ではノイズのさらなる低減に焦点を当てています。このようなデバイスのノイズは、熱がある状態において素子に電圧を加えたときに、熱的原因、絶縁不良、結晶欠陥などによって光を当てなくても流れる電流の流れ(暗電流)によって引き起こされます。光子を感知した際に電気信号を流すことではじめて光を検知することとなりますが、微弱な光子の場合ではノイズとの区別がつきづらく、検出を困難にしてしまいます。
これに対処するため、開発チームは二つのアプローチからノイズの低減をはかる予定です。ひとつはシステム全体を-20°Cまで冷却することと、もうひとつはセンサーのサイズを縮小することです。これらの措置により、暗電流を効果的に抑制し、デバイスが微弱な光信号を検出する能力を高めることが期待されます。
この感度の向上は、宇宙における信頼性の高い光通信の確立にとって重要です。特に、月探査プロジェクトにおいては40万Kmという途方もない距離の中で確実な通信を実現する必要があり、これにあたって今回開発するセンサーは非常に重要な役割を果たすことが期待されます。
本件開発は、2024年2月末に完了する予定です。ワープスペースは、JAXAとともにこの最先端技術に貢献することで、世界で加速している月や深惑星探査における日本のプレゼンスを更に高めることを期待しています。
株式会社ワープスペースについて
ワープスペースは、民間として世界で初となる、人工衛星向けの光即応通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat(ワープハブ・インターサット)」の開発を進めています。光通信が可能な中継衛星3基が、他の衛星から送られてきたデータを地上局に即応的かつ高容量で転送する仕組みです。同サービスは2025年までに実現させることを目指しています。近年、地球観測などを行う人工衛星の数が爆発的に増えています。「WarpHub InterSat」を利用してもらうことにより、より多くの地球観測データ等をリアルタイムに近い形で取得、利用できるようになり、災害対応の高速化や資源管理の効率化など、持続可能な地球経済の実現に貢献します。
公式サイト:https://warpspace.jp/