本連載では、ASCII.jpに掲載されたAI関連記事を中心に紹介、最近のAI事情を俯瞰していく。今回は11月下旬から12月中旬まで(11月16日から12月19日)の主なニュースを振り返ってみよう。
11月末から12月にかけて、筆者は米ラスベガスでAWSの年次イベント「re:invent」を取材していた。AWSも発表の中心は生成AI。生成AIの年になった2023年らしい締めくくりだった。12月に入るとアメリカは年末休暇モードに入り、通常ニュースは少なくなってくるのだが、12月に入っていきなりグーグルがGeminiを発表し、驚かされた。
技術開発はまだ加速中で、こうしたトレンドは来年も続く。インテルなど各社がローカルでAIを活用することを新プロセッサーの売りとしはじめたので、来年はこの分野が加速するのではないか……と、予測される。
マイクロソフト、GPTsに続いてカスタム「Copilot」作成ツールを発表 Bing Chatは「Copilot」に改称(11月16日)
昨年の今頃、「マイクロソフトが生成AIでトレンドの一翼を担う」と予測した人はどれだけいただろうか。大手がスタートアップを押し出す勢いと速度で動いたのが、今年の生成AIブームの特徴といえる。
一方、あまりに素早く展開されたために、「このサービスはどこからどこまでのユーザーを指すものか」「似たような名前だけどこれとコレはどこが違うのか」的な混乱も多々ある。マイクロソフトの「Copilot」もまさにそうで、このニュースはツールの発表以上に、「定着に向けてブランディングの再整理をした」ことの方が重要だったりする。
実のところ、Copilotはサービス展開こそ素早いが、企業・個人で活用が進むのはこれから。そのためにも、混乱は今のうちに解消しておきたいというところだろう。
OpenAIアルトマンCEO復帰で決着。解任された理由は謎のままですが(11月22日)
前回の連載でも最後に触れたが、急速に出てきて急速に萎んだ話題。OpenAIやマイクロソフトはとにかく短時間で鎮火させたかっただろうから、狙いは成功した。ただ、「マイクロソフトのOpenAI依存」「OpenAIのガバナンス強化」という課題は残ったままだ。
マイクロソフトは12月の株式総会にて、「自社でも小規模動作を前提とした生成AIを開発している」「クラウドインフラとしてはOpenAI以外も提供している」などとコメント、多少距離を置く動きが見える。
ChatGPTよりすごい!? 15万語に対応 Claude 2.1登場(11月24日)
日本語対応が遅くなった関係もあってか、日本でのClaudeへの注目は今一つであるようにも感じる。詳しくはこのあと説明するAWSの項でも触れるが、Claudeは生成AIのファウンデーションモデルとして、MetaのLlamaとともに存在感を高めている。
OpenAIかGoogleかではなく、オープンなLLM活用も、来年に向けたテーマの1つになってきている。
この連載の記事
-
最終回
AI
“生成AI元年”が終わり、ビジネスへの実装段階になってきた -
第12回
AI
「Sora」は本当に革命か。実は多彩な動きを見せていた2月の生成AI業界 -
第11回
AI
マイクロソフト30年ぶりのキー追加は“生成AI推し”の象徴だ -
第9回
AI
OpenAIはどこへ行くのか|AIニュースまとめ -
第8回
AI
アップル新型「MacBook Pro」生成AIを意識したスペックに|AIニュースまとめて解説 -
第7回
AI
Adobeやグーグル、AIの売り込み進める|AIニュースまとめて解説 -
第6回
AI
「今動かなければ遅れる」生成AI開発を猛烈に進める、アメリカIT大手の危機感|AIニュースまとめて解説 -
第5回
AI
AIの「政治・地政学リスク」が鮮明になってきた|AIニュースまとめて解説 -
第4回
AI
グーグル、生成AI“有料展開”急ぐ 運用コスト重く|AIニュースまとめて解説 -
第3回
AI
楽天、ソフトバンクの“生成AI戦略”に注目【AIニュースまとめて解説】 - この連載の一覧へ