名古屋大学と旭化成などの研究グループは、窒化アルミニウム(AlN)系材料を使って、理想的な特性を示すpn接合を実現することに世界で初めて成功した。窒化アルミニウムは、現在高周波デバイスやパワーデバイスで多用されている炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも高い性能を発揮する次世代半導体の材料として注目されているが、半導体として動作させる上で欠かせないpn接合の実現が困難だった。
名古屋大学と旭化成などの研究グループは、窒化アルミニウム(AlN)系材料を使って、理想的な特性を示すpn接合を実現することに世界で初めて成功した。窒化アルミニウムは、現在高周波デバイスやパワーデバイスで多用されている炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも高い性能を発揮する次世代半導体の材料として注目されているが、半導体として動作させる上で欠かせないpn接合の実現が困難だった。 研究グループはまず、高品質なAlN基板の上に、有機金属エピタキシャル成長法を利用して、ドーピングしないAlN層と、高濃度のn型Al0.7Ga0.3N層を形成。この層の上に、化学組成を空間的に変化させる分布型分極ドーピング(DPD:Distributed Polarization Doping)という手法を利用して、AlNのモル分率を徐々に増加させたn型DPD層を形成し、さらにその上にAlNのモル分率を徐々に減少させたp型DPD層を形成した。最上層に高濃度p型GaN層を形成し、最上層と高濃度n型Al0.7Ga0.3N層に電極を形成し、pn接合ダイオードを作成した。 作成したダイオードの絶縁破壊電界強度を計測したところ、SiCやGaNのおよそ2倍の強度を発揮することが分かった。これはAlN系pn接合の絶縁破壊電界強度実測値として世界最高記録となる。ただし今回の研究では耐圧向上に向けた工夫をしていないため、今後の研究でこの値をさらに高めることができるという。 研究成果は12月9〜13日に米サンフランシスコで開催された第69回国際電子デバイス会議(International Electron Device Meeting)で発表された。(笹田)