ロジクール ONE with Office パートナーシップ
周辺機器メーカーのロジクールが、日本における法人事業を本格化させる。
今後3年間で、法人事業の売上高を50億円増加させ、日本国内独自のパートナー制度として新たに開始する「ロジクール ONE with Office パートナーシップ」の参加企業を30社にまで拡大させる。
ロジクールの笠原健司社長は、「ロジクールは、新たな働き方をドライブし、働き方を変えたいと考える企業を支援するリーディングカンパニーを目指す」と意気込む。
キーボードやマウス、ヘッドセットなど、日本ではコンシューマ向け製品の印象が強いロジクールだが、グローバルでは法人事業で高い実績を持つ。
ロジクールのビデオコラボレーションは、世界中の医療系企業大手10社のうち9社が導入。世界的な自動車メーカー10社のうち8社、大手製造業の10社のうち9社、大手製薬会社の上位10社のすべて、そして米国大手金融機関10行のうち9行が、ロジクールのビデオコラボレーションを導入しているという。また、2023年第2四半期(4~6月)のビデオコラボレーション市場において、金額、台数ともにロジクールが世界ナンバーワンシェアを獲得したという。
笠原社長は、「そのほかにも、官公庁や地方自治体、保険、証券、小売、運輸など、あらゆる業界で、ロジクールのビデオコラボレーションが導入されている。イノベーティブな働き方を模索している企業を、ビデオコラボレーションというテクノロジーで支援することができる。日本市場においても、ビデオコラボレーションに経営資源を集中していくことになる」と語る。
ロジクールは、グローバル(海外ではロジテック)の業績発表でも、法人事業を切り出した形での発表は行っていないが、日本における法人事業比率は低いほうにあり、日本と同じような市場性を持つドイツでは、法人事業の比率が圧倒的に高いという状況もあるという。言い方を変えれば、日本における法人事業にはまだ伸びしろが大きい。
また、日本の企業におけるビデオコラボレーションの導入率が低く、ここにも大きな市場が眠っている点も見逃せない。
2022年10月時点の調査によると、全世界の企業や団体、学校にある会議室は、約1億室に達するという。だが、そのうち、ビデオ会議が行える部屋は10%に満たないという。
これは日本においても同様だと、笠原社長は指摘する。
「日本の企業や学校には、100万~110万室の会議室がある。しかし、ビデオ会議が使える会議室は10%弱にとどまる。働き方は変化しているが、会議室は変化していないのが実態だ。いわば、残りの90%の会議室は、ホワイトスペースである。つまり、イノベーティブな働き方を模索中の企業が9割あるともいえる。ロジクールにとって、法人事業を大きく成長させるチャンスがある」
実は、国内市場において、ビデオコラボレーションの導入率が5%上昇するだけでも、ロジクールにとっては、100億円以上の売上げ増が可能になるという試算も成り立つ。50億円増加という事業計画は意欲的なものではあるが、達成に向けたポテンシャルは十分にあるというわけだ。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ