GPU性能はRaptor Lake世代の約2倍
Ryzen 7 7840UとCore Ultra 7 155Hがほぼ同等
次がGPU性能である。Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lake世代(≒Alder Lake世代)と比較して2倍になるという話は連載741回で説明した。実際にAlder Lake世代のCore i7-1370PとCore Ultra 165Hを比較した結果が下の画像である。
Apex Legendsは軽いゲームなのでフレームレートが上がりにくいのはわかるが、そこまで軽いわけでもないGrand Theft Auto Vが意外に上がらない印象がある。逆にFar Cry 6やBorderlands 3などはこれまでAlder LakeではGPUがアップアップしている印象だったので、ここまで性能が伸びたというのはそれなりに性能改善効果があったということだろうか。
ただこのあたりは向上率ではなく実フレームレートを示して欲しかったところだ(Performance Indexの方を見ても、実際のフレームレートは掲載されていない)。
ちなみに競合との比較として示されたのが下の画像だ。一概には言いにくいのだが、Ryzen 7 7840UとCore Ultra 7 155Hがほぼ同等、Core Ultra 165Hがそこから5%増しのフレームレートだとしている。
やや気になるのはCore Ultra 165Hのみ16インチのノート(実際Zenbook 14やThinkPad T16と比較すると一回り大きい)なことで、それだけ冷却能力にゆとりがあるように思えるのだが、これがどの程度フレームレートに関係してくるかははっきり断言できない。
とはいえ、Zenbook 14とThinkpad T16ではほぼ同クラスなので、XeコアベースのGPUはRDNAと同等のところまで性能を引き上げてきた「ように見える」のは大きい。なぜ「ように見える」と書くかと言えば、自分で試したわけではなく、あくまでもインテルの発表だからである。
そのGPU関連では、今回XeSSを改めて前面に出す形でアピールした。
実際にXeSSの有無でどこまで性能が向上するか、というのが下の画像だ。Like a Dragon:Gaidenでは倍以上になってるのはなにか違う気がする。これが事実だとすれば、相当クオリティを犠牲に性能を引き上げているように見える。
これでeスポーツをやるのは無茶にしても、自分で遊ぶだけであればShadow of the Tomb Raiderくらいまではなんとかプレイできる範疇に入る結果になっているのは相応に大きい。
ただこれはRyzen 7 7840Uにも言えることだが、やはり統合GPUとしての足枷(主にメモリー帯域と消費電力)の壁は大きく、がんばってもこの程度が現在の上限ということも示している。それでも、例えばGhost Runner IIではCore i7-1370P比で最大3倍のフレームレートが実現できるというのは、これまで遊べなかったゲームが遊べるようになるという点で大きな進歩だろう。
この連載の記事
-
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ