このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第455回
山根博士のグロスマレビュー
中国製チップで5G対応(?)のファーウェイ「Mate 60 Pro」はやはりカメラが強力
2023年12月13日 12時00分更新
◆XMAGEテクノロジーと可変絞りで質の高い撮影が可能
HUAWEI Mate 60 Proのカメラは前述したように広角が5000万画素で24mm、f/1.4からf/4.0までの可変絞りを搭載する。超広角は1200万画素で13mm、画角120度でf/2.2。そして望遠は4800万画素、90mm(3.5倍)でf/3.5のペリスコープ型を内蔵する。ファーウェイ独自開発のイメージング技術「XMAGE」を採用しており、円形に配置されたカメラの中央部分にロゴがプリントされている。
カメラのモードは「アパーチャ」「夜景」「ポートレート」「写真」「ビデオ」「プロ」「その他」。写真はデジタルで最大100倍までに対応する。ビデオモードでは720p/1080p /4Kの切り替えを画面右上のタップでできるようになった(HUAWEI Mate 50 Proでは設定画面を開く必要があった)。
ビデオの最大倍率はデジタル15倍だ。そのほかのモードには、高画質撮影固定の「ハイレゾ」、ほかのHarmonyOS搭載スマートフォンのカメラをHUAWEI Mate 60 Proの画面から操作できる「マルチカメラ」などのモードが備わる。
可変絞りは昨年発売のHUAWEI Mate 50 Pro以降、ファーウェイのフラッグシップモデルの大きな特徴になっている。アパーチャモードに切り替えると、絞りの設定は「仮想アパーチャ」または「物理アパーチャ」が選べる。仮想アパーチャはほかのスマートフォンでも搭載しているAIによるソフトウェア的な絞り調節で、f/0.95からf/16までの切り替えが可能だ。
ただし、ソフトウェア絞りのため被写体が重なり合っているときなど、境界線がきれいにボケてくれないこともある。これはほかのスマートフォンでも同様のことだ。
一方、物理アパーチャを選ぶと、レンズ部分の絞り羽を実際に動かして光量を調整できる。切り替えできるのはf/1.4、f/2.0、f/2.8、f/4.0の4段階。プロモードではf/1.4からf/4.0までより細かく11段階で絞りを調節できる。
夜景モードもより細かい設定が可能になった。以前のモデルでは夜景モードに切り替えると周辺の暗さからシャッター速度が自動調整され、数秒でシャッターを切ることができた。HUAWEI Mate 60 Proでは夜景モードからISOとシャッター速度を手動で設定できる。夜景モードを起動するとどちらも自動設定となり、従来の夜景モード同様に最適なシャッター速度で撮影ができる。
そして、手動でISOやシャッター速度を切り替えれば、より凝った夜景撮影が可能になるというわけだ。夜景撮影時に夜景モードではなくプロモードを使うケースも多いようだが、HUAWEI Mate 60 Proの夜景モードは設定を簡素にした「夜景特化のプロモード」なのである。
以下はHUAWEI Mate 60 Proのカメラ作例だ。
【まとめ】アメリカ制裁からの復活の狼煙になりそうなハイエンド
HUAWEI Mate 60 Pro搭載のKriin 9000sは中国の半導体ファウンドリーSMICが製造している。台湾TSMCなど海外企業に頼らず中国国内で5G対応チップセットを国内製造することが可能になったことで、今後はスマートフォンのみならずより高性能なKirinチップセットの開発にもはずみがつくだろう。HUAWEI Mate 60 Proの全体のパフォーマンスは2~3年前のハイエンドモデルに留まるものの、XMAGEテクノロジーによる画像処理は業界のトップクラスの性能と感じられる。
中国ではHUAWEI Mate 60 Proはもとより、下位モデルのHUAWEI Mate 60、上位モデルのHUAWEI Mate 60 Pro+への関心も高まっており、Mate 60シリーズ全モデルはファーウェイストアやECサイトで常に品切れが続いているほどだ。
アメリカ政府の制裁が続く中、ファーウェイは約3年間4Gスマートフォンしか発売できなかった。SMICのKirin製造の歩留まり(全生産数に対する合格品の割合)問題や、グーグルサービスではなく独自のHarmonyOSエコシステムをグローバルに展開できるのか、といった不安材料もあるにはある。だが、5G対応かつ高性能カメラを搭載したHUAWEI Mate 60 Proからは「ファーウェイのスマートフォンの復活」を十分感じることができた。
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