このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「蓄積されたコンテンツの活用」「安心安全」をアピール、ユーザー企業のNRIも期待を語る

Boxに組み込まれた生成AI機能「Box AI」の実力は? デモを披露

2023年12月08日 15時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

NRIのBoxによるコンテンツの集中管理、Box AIへの期待

 説明会では、Boxを長らく利用している野村総合研究所(NRI)のDX基盤事業本部 シニアチーフエキスパートである村田龍俊氏がゲスト登壇。同社が取り組む、ハイブリッドワーク時代におけるコンテンツ集中管理とBox AIへの期待について語った。

野村総合研究所 DX基盤事業本部 シニアチーフエキスパート 村田龍俊氏

 村田氏は、パンデミック期におけるテレワーク導入による一時的な生産性の低下、その後の職場復帰によるハイブリッドワークでの生産性の回復を経て、現在は、デジタルワークによる生産性の高い働き方の実現が求められていると語る。デジタルワークに必要となるのが、クラウド上のイノベーションの活用、コラボレーション先の多様化、多様で選択可能な働き方の実現だ。

 クラウド活用やコラボレーション、ハイブリッドワークのためにキーとなるテクノロジーとして村田氏が挙げたのが「ゼロトラスト」と「コンテンツセキュリティ」だ。「どんなに端末やネットワークをセキュリティで守って、頑丈な認証を構築しても、使用するコンテンツが散在するのはよくない」と村田氏。

 コンテンツを複数のクラウドサービスで管理すると、それぞれに対してセキュリティを設定する必要がある。コンテンツをBox上に集約することで、Boxのみの設定で済み、運用負荷を下げ、セキュリティも強化される。「これではじめて自由にクラウドサービスが使える」として、NRIではBoxを活用している。

データを単一プラットフォームに集約することで、セキュリティ管理が統一できる

 NRIでは、最初に社員だけが利用するBoxのテナントを構築。その後、外部ユーザー用のテナントを構築し、パートナーやグループ会社をユーザーとして登録して、Box Governanceのコラボレーションホワイトリストで、安全にコンテンツを共有している。さらに、社外のBoxを利用するユーザーと繋がりたいというニーズを受け、決められたユーザーとのみBox GovernanceとBox Shieldで繋げているという。

 そして、2年ほど前からは、独立した環境として、社内テナントへのアクセスを防ぎ、一時的に限られたファイルのみを共有できるゲスト用のBoxを構築、さまざまなセキュリティレベルの顧客とのコミュニケーションを実現している。

NRIによるBoxの複数テナントの構築

 また、NRIが活用しているBoxの機能が、Box Governanceの「リテンション機能」と「ごみ箱機能」だ。

 リテンション機能は、特定のコンテンツを、指定した期間が経過したのちに自動削除する機能。法令で保管期間が定められているドキュメントがあっても、期間経過後に自動削除されるため、ファイルが膨れ上がらないという。ごみ箱機能は、一般権限では触れられない削除履歴により、退職する社員によるデータの不正持ち出しを防ぐ。

 また、Box Shieldのスマートアクセス機能や脅威検出機能も、不注意や悪意のある行動による情報漏洩対策に活用している。

NRIのBox Governanceの活用

NRIのBox Shieldの活用

 最後に村田氏は、Boxの今後の利用展開として、提案書や設計書、技術情報、障害対応などのナレッジをBoxに集約、これをBox AIで活用していきたいと語った。

 また、Box AIを事前検証した中で、アクセス権に基づいて、格納済みのコンテンツをコピーすることなくダイレクトで要約してくれること、生成したコンテンツを従来と同じプロセスでBoxに保存できることを評価しているという。「他の生成AIは、たくさんの情報から学習していることをアピールしているが、Box AIはアクセス権に基づいて重要な情報を安全に使えるのが良い」と村田氏。

 一方で、改善して欲しい点として、メールやチャットデータなどへの対応や、複数コンテンツを対象とした要約の実現などを挙げた。さらに、来年登場するBox Hubs with AIにより、横断的にコンテンツを検索して生産性が向上することを期待していると語った。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

ピックアップ