エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀のアート散歩 第16回

虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」開館記念企画 第二弾 蜷川実花が挑む、過去最大の展覧会に行ってきたぞ

文●玉置泰紀(一般社団法人メタ観光推進機構理事)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 森ビル株式会社が運営する虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの情報発信拠点「TOKYO NODE」(東京都港区) は2023年12月5日、開館記念企画 第二弾「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」(2023年12月5日〜2024年2月25日)を開幕した。注目の展覧会に、筆者は、12月4日に会場で行われた蜷川実花氏(写真家・映画監督)、宮田裕章氏(データサイエンティスト・慶應義塾大学教授)、杉山央氏(森ビル株式会社 本展プロデューサー)、桑名功氏(森ビル株式会社 本展クリエイティブ・ディレクター)の記者会見と内覧会に参加してきた。

 蜷川実花氏にとって過去最大規模となる体験型展覧会「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」は、100万色の光彩色を使い、すべて本展のために制作した映像インスタレーション・写真、立体展示などで構成された14作品が一堂に会する。 会場は、2023年10月6日に開業した情報発信拠点「TOKYO NODE」は、虎ノ門ヒルズステーションタワー45階、地上から200m超の高さにある。GALLERY A/B/Cは総面積およそ1,500㎡で、蜷川氏が過去開催した展覧会で最大の展示面積となる。

 スマホやSNSの台頭する中、視覚の情報過多な時代に、色、光、香りなど五感で感じられる体験型の展示を実現し、桃源郷のような世界をイマーシブに楽しめるように構成されている。写真家であり、映像作家でもある蜷川実花氏の作り上げてきた様々な表現を、実際にその世界に入り込んだような環境にマッシュアップしている。展覧会は大きな流れを持っていて、最後に行きついたとき、円環構造の中にいることを実感できるだろう。

 虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、「TOKYO NODE」と同じく2023年10月に開業した駅と街の一体的な開発で、交通結節機能が強化されている。地上49階建て、高さ約266m、日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅と一体的に開発された注目の多用途複合の超高層タワーだ。

 蜷川氏とともに展覧会を作り上げたクリエイティブチームEiM(エイム)の展覧会に寄せたステートメントの抜粋は以下の通り。

「何気ない日常の景色であったとしても、少し見方を変えるだけで、全く異なる美しさや情感に出会うことができる。 本展の核である映像全てに共通するのが、“夢のように見える美しい景色であっても、全て現実の映像である” こと、 そしてそれらの大半は “人々の日常の延長線上にある、何気ない場所で撮影されている” こと。 本展での体験が、鑑賞者の心に変化をもたらす機会になることを願っています」

『Flashing before our eyes』。最高天高15mのドーム型天井全面を使った、大型の映像体験

記者会見の登壇者。左から桑名氏、蜷川氏、宮田氏、杉山氏

キービジュアル。咲き誇る花と枯れ落ちた花

写真家・映画監督の蜷川実花がクリエイティブチームEiM(エイム)として挑む、作家史上最大の展覧会は、地上200mの桃源郷で、光彩色の世界に飛び込むアート体験

 今回の展覧会は、「EiM(エイム): Eternity in a Moment」と言うクリエイティブチームによって制作されていて、写真家・映画監督の蜷川実花氏、データサイエンティストの宮田裕章氏、セットデザイナーのEnzo氏らからなり、プロジェクトごとに多様なチームを編成する。展示作品は、TOKYO NODEの特徴的な空間に合わせて制作・刷新されていて、45階のGALLERYの窓から見える、東京タワーなど、東京の風景や外光を作品や体験に取り入れ、この期間・この場所でしか体験できない構成とした。 会期中はデザイナーとコラボしたアパレルや会場限定のオリジナルグッズを販売するPOP-UPショップが登場するほか、TOKYO NODE内の飲食店とのコラボメニュー展開、イベント等も予定されている。

【展覧会の見どころ】

 1. すべてが新作・撮りおろし。CGを用いず「リアル」な 被写体で構成された映像インスタレーション

 本展のために制作された映像は、幻想的な美しさながら、CG等を用いずに現実を切り取ったもの。日常の中にある儚い美しさを、永遠の存在として昇華している。

2. 作品ごとに異なるチームメンバーが結集。 すべてが展覧会の“顔”レベルとなる、14の作品群

 建築、音楽、舞台美術など各分野のプロフェッショナルらと共創。14作品それぞれが、個展であれば主作品となるレベルで制作されながら、展覧会として互いに連結したひとつの体 験に仕上げている。

3. “巡回不可”、「地上 200m からの東京」を借景にしたTOKYO NODEでしか見られないアート体験

 各展示はTOKYO NODEの広大なギャラリースペースに合わせて制作されており、他施設で同じ作品体験はできない。さらに外光も作品の一部に取り入れることで、訪れる時間や天候によって異なる表情を楽しむことができる設計となっている。

蜷川実花・コメント
「ここ数年、この展覧会のために何度も実験をして準備してきました。今までたくさんの 展覧会をやってきましたが、過去最大級、これまでの展覧会とは全く違うものに。桃源郷のような世界を体感していただけると確信しています。 今回はEiMとしてのチームでのぞみます。このTOKYO NODEでしか、他の場所では決して実現できない展示なので、絶対に観にいらしてください」

宮田裕章・コメント
「私たちは、何気ない日常や瞬間の中で移ろいゆくものの中に、普遍的な美しさを見出す 美意識に敬意を込めて、TOKYO NODEでの展覧会名を「Eternity in a Moment」としました。皆さんと体験を共につくる中で、本展が未来へつながる新しい場になることを願っています」

本展アドバイザー、片岡真実氏( 森美術館館長)・コメント
「蜷川実花の花々はいつも強くて眩しすぎる。彼女をそれほどまでに突き動かすものは何なのか。その眩しすぎる艶やかな世界に至るまでに、どんな暗闇を通ってきたのか。彼女の作品が輝きを放つのは、誰もが直面する日々の葛藤もパンデミックも戦争も、すべて一旦受容して、それでもなお、「いま、ここ」を生きようとしているからなのか。激しく揺れ動くその感情の根底を、本展では見られるだろう。」

蜷川氏(左)と宮田氏

会見は最高天高15mのドーム型スペースで行われた

【主要な展示スペース】

『Flashing Before Our Eyes』

 最高天高15mのドーム型天井全面を使った、大型の映像体験。 動と静、生と死、緊張と緩和など対となる概念が走馬灯のように現れ、 無意識に沈んでいく中で、意識を取り戻し、再び目覚めるまでがイメージされている。夜は、スクリーンが開かれて、外の夜景を見ることができて、内側と外側の相乗効果が楽しめる。観客は床に寝転んで上を見ることや、様々な見方ができる。

『Intersecting Future』

 映画監督の顔をもつ蜷川実花の真骨頂。上下左右、鑑賞者の視界一面を埋めつくす花々の様子は、まるで桃源郷のよう。映画のセット技術を活用した、迫力のある空間体験型展示。4か所で異なる香りを感じられる仕掛けが。蜷川氏の花の写真に入り込んだよう。

『胡蝶のめぐる季節』

 蝶に誘われながら、四季の映像を巡る体験。投影される花々は、まるで作りもののような美しさでありながら、CGではない“実物”が切り取られている。6層のスクリーンを行き交う鑑賞者もまた、作品の一部となる。スクリーンの向こうの鑑賞者の影が作品に生命を与える。

『Blooming Emotions』

 包み込まれるようなクッションに寝転び、天井に投影された映像を楽しむ。こちらの展示も夜はカーテンが開かれ地上200メートルの東京の街を体感できる。

 『ほかの展示風景』

 様々な仕掛けが満ちている。

『オフィシャルPOP-UPショップ』

 会場でしか購入できないオリジナルグッズを含む多数のアイテムを販売する。 「FETICO(フェティコ)」、「KIDILL(キディル)」、「MASU(エムエーエスユー)」、「TENDER PERSON(テンダーパーソン)」の 4人のデザイナーとコラボレーションしたアパレルアイテムを会場で限定販売するほか、「ガトーフェスタ ハラダ」や「POLA」とのコラボアイテムも展開する(一部に先行販売およ び通常販売商品を含む)。

【開催概要】

展覧会名
蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠

会場
TOKYO NODE 45F GALLERY A/B/C
東京都港区虎ノ門二丁目6番2号
虎ノ門ヒルズ ステーションタワー8F、45F〜49F
 ※虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのシャトルエレベーターで7Fスカイロビーへ。7Fス カイロビーからエスカレーター(またはエレベーター)で8F TOKYO NODE エントラン スへ。エントランスからはエレベーターで45階へ

会期
2023年12月5日〜2024年2月25日
 ※年末年始等休館日あり 

開催時間
日・月・水・木曜:10:00~20:00
火曜:10:00~17:00
金・土・祝前日:10:00~21:00
 ※最終入場は閉館時間の30分前まで
 ※祝日は10:00~20:00

料金
平日/一般2,500円、学生(大学生・高校生)2,000円、子ども(中学生・小学生)800円
土日祝/一般2,800円、学生(大学生・高校生)2,200円、子ども(中学生・小学生)1,000円
 ※会期中に販売する通常チケットは、日時指定券を導入している。記載されている日時でのみ有効で、指定の時間内に入場すること。混雑状況により、入場まで待つ場合がある。在庫がある場合のみ、窓口や券売機でも販売する。来場者には、本展オリジナルス  テッカーを一人につき1枚ずつ貰える。
 ※特設サイトチケットページから希望日時を選択し、オンライン決済(クレジットカード)にて支払う。購入後のキャンセルはできない。
 ※チケット購入はこちらから https://www.hills-ticket.com/TN/order/eim-general-ticket

公式サイト
https://tokyonode.jp/sp/eim/

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
09月
10月
11月
12月
2019年
07月
08月
2018年
07月
11月
2016年
03月