LF Research調査レポート「Japan Spotlight 2023 : 日本におけるオープンソースの動向、課題、機会」を公開
The Linux Foundation Japan
本日より開催、世界中のオープンソース エコシステムが日本で一堂に会する大規模カンファレンス Open Source Summit Japan 2023 で発表
2023年 LF Researchは、オープンソースの動向に関する世界規模の調査を実施しました。今回、日本のオープンソース情勢にフォーカスした調査レポート「Japan Spotlight 2023 : 日本におけるオープンソースの動向、課題、機会」が発表されました。英語版と合わせて日本語版も同時に公開され、全文ダウンロードすることが可能です。
本日、Linux Foundation Research (LF Research) の最新調査レポート「Japan Spotlight 2023 : 日本におけるオープンソースの動向、課題、機会」が公開されました。英語版と合わせて日本語版も同時に公開され、以下よりダウンロードすることができます。
Japan Spotlight 2023 : 日本におけるオープンソースの動向、課題、機会 https://www.linuxfoundation.jp/publications/2023/12/japan-spotlight-2023-jp/
LF Research 最新レポート一覧 https://www.linuxfoundation.org/research
2023年 LF Researchは、オープンソースの動向に関する世界規模の調査を実施しました。この調査結果をセグメント化して分析し、「Europe Spotlight 2023」レポートを作成しました。その後、調査結果全体を考察し、「Global Spotlight 2023」レポートを作成しました。今回3番目のレポートとして日本のオープンソース情勢を取り上げた「Japan Spotlight 2023」が発表されました。日本のオープンソースの状況に特別な注意を払っており、OSSの成長の機会を特定するのに役立ちます。
Japan Spotlight 2023 インフォグラフィック
Japan Spotlight 2023 目次 :
序文
エグゼクティブサマリー
はじめに
日本におけるオープンソースの導入
オープンソースの利用
オープンソースへの貢献
オープンソースの価値提案
今後の優先事項
結論と実行可能な洞察
この調査について
方法論
謝辞
著者について
巻末資料
著者 :
Adrienn Lawson, Linux Foundation
Stephen Hendrick, Linux Foundation
序文 :
私がLinux Foundationの日本担当VPに就任した2009年当初、Linux Foundationはグローバル全体でもスタッフ全員の顔が見渡せる10人規模の組織で、ホストするオープンソース プロジェクトもLinuxカーネルただ一つでした。まだオープンソースソフトウェア (OSS) 自体がややマイナーで、日本のさまざまな企業を訪問する際も「OSSとは」という本当に初歩的な話からさせていただくことが多かったと記憶しています。現在のように、OSSがビジネスの成功を左右する重要な要素となり、Linux Foundationで幅広い分野にわたる非常に多くのプロジェクトをホストすることになるとは、当時全く想像をしていませんでした。それ以来、Linux Foundationは Linuxカーネル創始者Linus Torvaldsが所属する組織として、Linux/OSS開発の安全で中立的な拠点を提供してきました。そしてオープンコラボレーション、オープンガバナンスなどの専門性を生かして何百ものOSSプロジェクトの管理に成功してきました。日本を担当する私は「OSSへの信念」を強く持ち、これらの中核事業を推進するための普及啓蒙活動や、日本企業がグローバルなOSS活動に参加するためのあらゆる支援に携わってきました。
本レポートで明らかにされたように、今日では大変多くの日本企業がOSSを利用して事業を営み、またグローバルなOSS開発コミュニティの一員としてOSSの開発に参加しています。この土壌の形成には、Linux Foundationの最上位メンバーであるプラチナメンバーとして、組織の黎明期から常に私たちと一緒に走り続けてくださっているNEC、日立製作所、富士通による絶大な支援が深く関わっています。この3社による力強い牽引で耕された土壌で日本のOSS産業は育まれました。そしてその土壌の中から日本発でグローバル規模のさまざまな活動が芽を出しました。
トヨタ自動車がリードして、自動車産業におけるソフトウェア開発を変革すべく「Automotive Grade Linux (AGL)」が誕生しました。ソニー、パナソニックなどの情報家電業界では、サプライチェーンの上流であるアジア各国の企業や開発者と、OSSライセンスコンプライアンスの理解を深めて情報交換を行いたいというニーズがあり、日本開催の恒例イベント「Open Compliance Summit」が始まり、その中から「OpenChain」プロジェクトが誕生しました。そして現在、OpenChainはソフトウェアサプライチェーン管理に関するISO標準になるに至りました。また東芝やルネサス エレクトロニクスなどは、発電所や電車運行システムなど社会基盤で使われるLinuxを長期メンテナンスするためのプロジェクト「Civil Infrastructure Platform (CIP)」を立ち上げました。日本の企業と開発者がもっと世界で活躍できるように、Linux Foundationはこれからも新しい機会と挑戦への支援を惜しむことはありません。
Linux Foundation Research は2023年、世界のオープンソースの現状を探る調査プロジェクト「World of Open Source」の一環として、地域ごとのオープンソースのトレンドを調べるアンケートを実施しました。調査結果をまとめたレポートは、各地域におけるオープンソースへの参加に対する私たちの視野を拡大するとともに、ワールドワイドでのオープンソースへの参加について深く理解し支援するための貴重な洞察を提供します。今回は「Europe Spotlight」「Global Spotlight」に続く3番目のレポートであり、日本におけるOSS活動に携わるすべての人たちの足跡を示しています。「Japan Spotlight 2023」レポートが発行されることは大変嬉しく、LF Researchと調査に参加して下さったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
- 福安徳晃 Linux Foundation 日本担当バイスプレジデント
日本語版翻訳協力:
吉田行男