税額が購買行動に与える影響
続いて、米シンクタンクProgressive Policy InstituteのエグゼクティブディレクターLindsay Mark Lewis氏が登壇。税額がたばこの購買行動に与える影響について解説した。
Lindsay Mark Lewis氏は「アジア、ヨーロッパ、南アメリカなど様々な国の様子を見てきたが、日本ではここ10年足らずで、40〜50%と高い比率のユーザーが電子タバコに切り替えている」と説明。また、従来のたばことの税率の差が少ないにも関わらず、加熱式たばこが多くのユーザーから支持を受けている点も特徴的だという。
ところが、米ミネソタ州での調査では、従来のたばこと加熱式たばこの税率が同等なら、1日あたり、平均して1%程度のユーザーが従来のたばこを吸うという判断をするという結果も見られたといい、たばこの税額が購買行動に与える影響は大きいと話した。
飲食業は、加熱式たばこ向けの設備にお金を使ってきた
トークセッションで登壇したのは、ミマツたばこ 社長の山本荘司氏、グローバル・ハーツ代表取締役社長の村田大造氏、消費経済アナリストの渡辺広明氏。
山本荘司氏は、秋葉原駅前で無料喫煙所を併設するたばこ販売店「ミマツたばこ」を経営している経験から「多様な風味や、周囲への配慮から、多くの方々が加熱式たばこを選んでいる」と話す。同店では現在、売上のおよそ40%が加熱式たばこによって支えられているとし、加熱式たばこの需要はここ数年で上がり続けていると感じているとも語った。
村田大造氏は、クラブでの喫煙の環境について「喫煙ができないクラブは集客力が下がる」と話し、集客を維持するために「紙巻きと加熱式のエリアを分けて、両方吸えるようにしたりと、設備投資を続けてきた」と述べた。
「現在、コロナ禍前の2019年と比較すると、売上は8割か9割で、人件費、光熱費、原価も上がっており、さらに借入金の返済がスタートしている企業も多い」と話し「加熱式たばこの価格が上がることで、紙巻きの需要が上がると、加熱式たばこの需要に合わせて設備投資を続けてきた飲食業は、再びの投資が必要になってしまいかねない」とコメント。「公共の利益のための増税は必要だが、影響や負担を考慮した、慎重な議論も必要」とまとめた。