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細胞内で分子カプセルとサイコロ状タンパク質結晶を融合=東工大

2023年11月24日 06時21分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学の研究チームは、サイコロ状とカプセル状という全く異なる形状と性質を持つタンパク質集合体を、1つの細胞の中で個別に同時合成することに成功。合成した集合体の複合結晶を細胞内で自発的に合成し、製造プロセスの大幅な簡素化を実現した。タンパク質材料化で長年課題とされてきた精製過程の簡素化を実現できる技術として、薬物輸送材料やワクチン、生体センサーなど、新たな生体固体材料への応用が期待される。

東京工業大学の研究チームは、サイコロ状とカプセル状という全く異なる形状と性質を持つタンパク質集合体を、1つの細胞の中で個別に同時合成することに成功。合成した集合体の複合結晶を細胞内で自発的に合成し、製造プロセスの大幅な簡素化を実現した。タンパク質材料化で長年課題とされてきた精製過程の簡素化を実現できる技術として、薬物輸送材料やワクチン、生体センサーなど、新たな生体固体材料への応用が期待される。 近年、人工的な物質を用いず、体に負担をかけない持続可能な材料として、タンパク質を集合化させたナノサイズの構造体である「タンパク質集合体」を合成する研究が世界中で活発に実施されている。しかしながら、これまでの研究では、単一のタンパク質を構成要素とする分子設計が主流であり、異なるタンパク質集合体を複合化した機能拡張には至っていない。 そこで研究チームは、タンパク質の自己集合体の一つであるタンパク質結晶に着目した。タンパク質結晶は、タンパク質の自己集積化反応により、分子の位置や配向が三次元に精密に制御された固体状態の集合体である。 同チームは今回、細胞内で自発的に結晶を形成し、タンパク質自身を安定化させる反応である「細胞内タンパク質結晶化反応」を利用。カプセル状タンパク質「フェリチン」を、サイコロ状のタンパク質結晶である多角体に固定化し、複合結晶を合成する技術を開発した。合成した複合結晶は、多角体表面のフェリチンに任意の分子を取り込んで、特定の場所でpH(ピーエッチ)刺激によってフェリチンを放出する材料として機能できる。 研究論文は、ナノレターズ(Nano Letters)に2023年11月13日付けでオンライン公開された

(中條)

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