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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第236回

発売直後、finalの新完全ワイヤレス「ZE8000 MK2」ファーストインプレション

2023年11月19日 17時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 「秋のヘッドフォン祭 2023」で、finalは新製品発表会を開催した。その中から完全ワイヤレスイヤホンの新機種「ZE8000 MK2」を紹介する。発売は11月17日、価格は3万6800円だ。

ZE8000 MK2レビュー

信号処理の変更で、8Kサウンドをより身近に

 ZE8000 MK2は昨年登場し、“8Kサウンド”という新しい音の世界を提唱した「ZE8000」の後継機だ。

 finalではリソースの多くを基礎研究に注ぎ込み、その目標を「完全な没入感」を目指すと設定したという。その手段の一つとして、ZE8000では従来はアコースティックな手法で実現していたことをデジタル処理で実現する手法を取り入れている。これはさまざまな電子回路を統合する完全ワイヤレスイヤホンらしい取り組みと言える。

 しかしながら、ZE8000の提唱する8Kサウンドは音に対するとても新しいアプローチであり、特定周波数の強調を廃した独特の出音に関しては賛否両論があった。特に従来から高級イヤホンの音に慣れ親しんできたユーザーの中で、否定的な意見を持つ傾向があったという。そこで多くのユーザーに受け入れられるように、もっとわかりやすく8Kサウンドの魅力が伝わることを目指したのがZE8000 MK2である。

 ZE8000 MK2では、オーケストラに没入できることを目指したとしている。異なる音色を有する多数の楽器で構成された音源において、各楽器間のバランスを損なうことなく、楽器独自の音色を忠実に再現できるとしている。

 また、ZE8000 MK2では、そうした音傾向の違いに加えて、初代ZE8000よりもS/N比が改善され、イヤーピースも改良している。イヤーピースには新たにシールドフィンを付けて、密閉性と装着感が良くなったという。これらの改良により、ノイズキャンセリングの効率も向上し、最大音量が5dB向上したとしている。

 一方で初代のZE8000は、より低価格化して併売する。

ZE8000やZE3000とどう違うのか?

 finalから提供された試聴機を使ったインプレッションをお伝えする。

 ZE8000とまず異なるのは、やはり新しいイヤーピースによる装着感の違いだ。以前のイヤーピースよりもよりフィットする感覚があり、遮音性も高くなっていると感じる。最近の耳穴に挿入しないタイプは装着感で不安を感じることもあるが、ZE8000 MK2にはそうした不安はあまりなく、確実に固定できる。

 一方で外観的な違いは少ない。本体/ケース両方にある二本線のマーキングの有無程度であり、外型的な違いとして目立つのは先に挙げたイヤーピースのフィン程度である。

ZE8000 MK2レビュー

白がZE8000、黒がZE8000 MK2

ZE8000 MK2レビュー

ケースの違い

 音に関しては初代とは大きく異なっている。一聴しただけで、ZE8000のふわりとした柔らかな音場感よりも一般的なイヤホンのダイレクトなサウンドに近くなったと感じる。ただしZE8000、ZE8000 MK2、ZE3000の3機種を聴き比べてみると、ZE8000 MK2のサウンドは中間に位置する。つまり、ZE8000よりも音は従来型のイヤホンに近づいたが、まだ8Kサウンドの独特な傾向を有しているように感じられる。

ZE8000 MK2レビュー

「ZE8000」(最奥)、「ZE8000 MK2」(手前)、「ZE3000」(中央左)

 3機種をもう少し細かく聞き込んでみた。ZE8000 MK2はオーケストラの音に向いているということなので、相応しい試聴曲としてベンジャミン・ブリテン作曲の「青少年のための管弦楽入門」を聴いた。この曲は音楽教育の一環として作曲されたものであり、オーケストラ全体に加えて木管・金管楽器、弦楽器、打楽器とそれぞれのパートも分かりやすい演奏だ。

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