ChatGPTとは?使い方や仕組みから、リスクと対策までわかりやすく紹介
本記事はユーザックシステムが提供する「DX GO 日本企業にデジトラを!」に掲載された「ChatGPTとは?使い方や仕組みから、リスクと対策までわかりやすく紹介」を再編集したものです。
ChatGPTが大きな話題になっています。いまさら聞きづらいけれど、実はどういったものなのかよく知らないという人がいるかもしれません。あるいは、AIによるチャットサービスであることは知っていて、ビジネスに活用したいけれど、どのように活用できるかイメージがわかない人もいるのではないでしょうか?
ChatGPTはさまざまな方面で活用することが可能ですが、リスクや問題点があることも知られています。利用する前にはそれらの点についても知っておかなければなりません。
ここでは、ChatGPTの概要とその仕組み、活用方法やリスクなどを紹介します。
※ここで紹介している内容は、2023/05/19現在の情報をもとにして作成しています。
ChatGPTとは
ChatGPT(チャットジーピーティー)は、ひと言で表すと、対話型AI(人工知能)サービスです。英語や日本語をはじめ幅広い言語で対応が可能で、ユーザーとの対話で随時回答を作成します。その特徴から、生成型AI(Generative AI)とも呼ばれています。
人間を相手にしているかのような自然な対話(チャット)が可能で、ビジネスや学習目的などのさまざまな方面で活用できるため、大きな話題になっているのです。
ChatGPTはアメリカのOpenAI社が開発・公開しています。2022年11月の公開後すぐに話題になり、1週間でユーザー数100万人を突破しました。2ヶ月後の2023年1月には、アクティブユーザー数が1億人を突破したと推定されています。ChatGPTの登場でAIの利用が進み、ChatGPTを利用して業務に応用するSaaSも提供され始めました。
ChatGPTに使われているGPT(Generative Pre-trained Transformer)とは、自然言語処理モデルのひとつです。現在はGPT-3.5を利用したChatGPTが無料で、最新版のGPT-4を利用した「ChatGPT Plus」が有料(月額20ドル)で提供されています。GPT-4は新しいデータを利用できるだけでなく、より長い文章を扱える、文章以外のデータも認識可能など、GPT-3.5よりも高機能で汎用性が向上しています。
本記事では、無料版のChatGPTについて説明します。
なお、ChatGPT以外にも、Google社の「Bard」や、GPT-4を利用したMicrosoft社の「BingAI」など、対話型AI(人工知能)サービスはほかにもあります。
ChatGPTと従来のチャットボットとの違い
ChatGPTは、広義ではチャットボットの一種ですが、従来のチャットボットとは大きな違いがあります。
従来のチャットボットは、あらかじめ作成したデータベースをもとにして、そこから決められた回答を返す仕組みです。
一方ChatGPTは、質問に対して、Web上のデータから作成されたデータベースをもとに回答を作成します。データベースは、2021年9月までの、Web上のすべてのテキストデータから構成されます。
Web上のデータをそのまま利用すれば、社会的に好ましくない回答を行う可能性があります。そのため、人間のフィードバックをもとに強化学習(RLHF :Reinforcement Learning from Human Feedback)を行った言語モデル「Instruct GPT」を利用することで、好ましくない内容が反映されないようになっているのです。また、日々ユーザーとのやりとりからも学習し、より自然な言語で回答できるように進化しています。
ChatGPTの使い方と仕組み
ChatGPTの使い方と仕組みを説明します。
ChatGPTの使い方
ChatGPTは、Webアプリケーションで非常に簡単に利用できます。ユーザーはアプリケーションをインストールする必要がなく、ChatGPTのページにアクセスするだけです。
・ユーザーがChatGPTのサイト「Introducing ChatGPT」にアクセスし、ユーザー登録を行います。
GPT-3.5の場合、登録にはメールアドレスと電話番号が必要です。ユーザー登録には、GoogleやMicrosoft、Appleのアカウントも利用できます。
・「New chat」ページに遷移するので、下の「Send a message」に質問文を入力し、送信します。
ページは英語で表示されますが、質問文は日本語で入力可能です。日本語で質問すれば日本語で回答が返ってきます。
・ChatGPTがデータベースをもとに回答を生成し、画面に表示します。
・質問と回答を繰り返し、より求めている内容に近づけていきます。質問の仕方にもよりますが、最初の回答は概要的なものになることが多いためです。質問を繰り返すことで回答の精度が上がり、より目的に合った回答を得られます。
ChatGPTができることと活用方法
ChatGPTでできることと、それを応用してどう活用するかを説明します。
ChatGPTができること
基本的な機能には次のようなものがあります。
・対話
ユーザーからの質問に対して、文章による対話で回答できます。
・文章の作成
ユーザーの指示に従って文章を作成できます。
・アドバイスや提案、カリキュラムづくり
ユーザーの相談に乗って、さまざまな提案を行います。
・テキストの翻訳
対応する言語での翻訳が可能です。
・情報収集
データベースをもとに情報を収集し、提供します。
・テキストの要約
入力した文章やデータベースの文章を要約できます。
・ソースコードの作成、デバッグ
要望にあったソースコードを作成し、デバッグを行い、開発をサポートします。
ChatGPTの活用方法
基本の機能にシステムやアプリケーションを追加することで、さまざまな活用が可能です。例えば、次のような事例があります。
・広告の自動生成
広告を作成したい商品やサービスについてのデータを収集し、それについてのセールスライティングを行うことが可能です。
・インサイドセールスの自動化
これまで収集した顧客データを分析・学習して、ユーザーにパーソナライズしたセールストークを生成します。対話形式でのセールスも可能です。
・操作マニュアルの自動作成
操作を記録してマニュアルを生成します。
・リファレンスチェックのサポート
質問内容を提案したり、選考に必要な情報を抽出したりします。
・非上場企業の企業情報や事業内容の調査
公式資料ではない情報をスクレイピングにより収集します。
・より自然で高度な回答ができるチャットボットの作成
ChatGPTを組み込むことで、より自然な会話が可能です。
・商品選定や就職活動などのコンサルティング
ユーザーの相談に対するアドバイスや提案を行います。
・社内のドキュメント検索、ヘルプデスク
データベースをもとにしてチャットボットとして活用することも可能です。
ChatGPTのリスクと対策
ChatGPTの利用には一定のリスクがあります。利用前にはこれを理解しておかなくてはなりません。
ChatGPTのリスク
ChatGPTには、利用しているデータベースが原因で次のようなことが発生するリスクがあります。
・情報が古い
データベースは2021年9月までのデータから構成されています。最新情報を利用するには有料版「ChatGPT Plus」へのアップグレードが必要です。
・情報が誤っている、偏っているなどの可能性がある
データベースはWeb上のテキストデータから構成されているため、生成された回答が正確な情報とはいえないことがあります。
・倫理的でない表現・情報
Web上のテキストデータをもとに回答を生成するため、好ましくない内容の回答になることがあります。
・著作権やプライバシーの侵害
データベースの性質上、法的に問題のあるデータも混じっているため、生成された回答内容が著作権やプライバシーの侵害にあたることがあります。
また、ユーザーの操作により次のようなリスクが発生します。
・プロンプトインジェクション、悪意のある情報漏えい
特殊なプロンプトにより、データベース上の機密情報を漏えいさせたり、倫理上不適切な回答などを生成したりすることがあります。
・機密情報、個人情報の入力
ユーザーが機密情報を入力するとChatGPTはそれを学習し、ほかのユーザーとのやりとりに反映してしまいます。
・生成した情報を悪用されるリスク
テストやレポートの回答を丸投げしたり、生成させたでたらめな文章を拡散したりして悪用されることもあります。
リスクへの対策
これらのリスクを低減するには、次のような対策を講じます。
・ユーザーに法律や規制、社内規定を説明して理解を促し、著作権やプライバシー侵害、情報漏えいなどを起こさないようルールを遵守させる
ユーザーのリテラシーを向上させることでリスクを減らします。
・ChatGPTを利用したサービスを使う
ChatGPTを利用して提供されているサービスでは、ChatGPTをAPI経由で利用します。API経由で利用すると、入力したデータは学習に利用されません。そのため情報漏えいを防ぐことが可能です。
【参考】AIライティングツールTranscopeは、OpenAI社の最新APIであるGPT-4を利用したAIライティングツールで、以下の3つの特徴があります。
1.SEOに最適
ChatGPTなど他のツールと違い、競合サイトの分析をしながら、SEOに強い文章を生成
2.AIの待ち時間ゼロ
AIにおまかせしてドキュメントを作成する機能を使えば、AIが文章を生成する時間を待つ必要はありません
3.マルチモーダルな入力
テキストだけでなく、URLや画像ファイルなど、様々な入力形式に対応可能
なお、AIのリスクやセキュリティ対策に関連する言葉に、“AI TRiSM”があります。AI TRiSMについて詳しくは、「AI TRiSMとは?DX推進に向けて押さえておくべきトレンド」をご覧ください。
ChatGPTの活用はこれからさらに広がっていく
ChatGPTは、多くのユーザーを獲得したことで、今後さらに多くのデータを学習していくでしょう。そのまま業務に利用するにはまだリスクや不便な点も多いですが、安全かつ便利に利用できるツールも日々開発されています。ChatGPTはこれからますます利用の幅が広がり、さらに高度で自然な対話ができるようになるのではないでしょうか。 ビジネスでも、ChatGPTのさまざまな活用方法が考えられます。リスクも理解したうえで、サービスや業務効率化などに活用することを検討してもよいかもしれません。