GarageBandで直感的に音を重ねて「音楽」を作る
GarageBandはiPadのほか、MacやiPhoneなどアップルのデバイスに対応する音楽制作のための無料ソフトウェアです。音楽の知識がなくても、楽器を演奏できなくても、アプリに収録されている多彩なサンプル音源やリズムのループなどを選んで、それぞれを組み合わせるだけで音楽のスケッチが自由に楽しめます。
もちろん音楽や楽器に心得のある方であれば、本格的な楽曲制作と録音のためにGarageBandを活用して、デバイスによる共有も簡単にできます。
江﨑氏も楽曲のデモトラックを作る時など、GarageBandを日常的に活用しているそうです。この日のイベントではGarageBandで制作したWONKの楽曲『Sweeter, More Bitter』の楽曲データをスクリーンに映して、複数の鍵盤楽器とリズムによるマルチトラックで構成されている江﨑氏のパートが、どのように作られているのかを披露されました。
江﨑氏はキーボード奏者であることから、デモトラックを作る際には「自分が弾けないドラムスによるリズムのループを自動入力してくれるGarageBandの機能がとても役に立っている」といいます。
イベントのワークショップでは来場者全員がiPadを使って、この日のイベントのために江﨑氏がピアノで演奏した音源から発想を広げる形で作曲に挑戦しました。GarageBandの「Live Loops」機能から好みの音源を見つけてアレンジを追加。初心者には難しそうなドラムスのフレーズ制作は、GarageBandの「Smart Drums」機能がスネアやハイハットなどの音源を自動で組み立ててくれます。
iPadのマイクで人の声を録音したり、オーディオファイルを取り込んでオリジナルの音源にできる「Sampler」も、江﨑氏による指南を受けながら小学生の参加者たちが見事に使いこなしていました。
江﨑氏は作曲を行う際に、普段から大事にしていることについて次のように語りました。
「作曲というと身構えてしまいがちですが、まずはリラックスしながら集中して音を聴くことから始めてほしいと思います。音楽には“正解”や“間違い”がありません。それがとても良いところだと私は思っています。音楽を作ることは本来、文章を書いたり絵を描くことと同じぐらい簡単です。そのことをiPadとGarageBandの組み合わせは実感させてくれるはずです」
江﨑氏は昨今、教育者としても音楽とのつながりを深めています。今年は都内の文化施設で音楽制作のアートスクールを主催したり、音楽教育者が集う講演会に登壇して、iPadなどデジタルデバイスを活用する新しい音楽教育の在り方を説いてきました。江﨑氏がまた再びApple Storeのイベントに講師として登壇する機会を楽しみに待ちましょう。
Today at Appleでは、iPadによる音楽制作やGarageBandの活用術を取り扱う無料のイベントを定期開催しています。ぜひ足を運んでみてください。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。