KAG Generative AI Labにより生成AIを活用しコーディング業務を約38% 短縮
KDDIアジャイル開発センター株式会社
機械的作業を減らし、思考力や意思決定などが必要な複雑な業務に注力
KDDIアジャイル開発センター株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:木暮 圭一、以下KAG)は生成AI活用の推進や関連する情報・知識・技術の獲得のため、KAG Generative AI Labを社内向け組織として立ち上げました。日々急速なスピードで発展する生成AIのキャッチアップとプロトタイプ開発を行い、実践的なノウハウを集約、社内の開発チームへ還元することで最終的にはお客様への価値貢献を目指します。 またKAG Generative AI Labは社内のGitHub Copilotの活用を推進しており、これによる業務状況の変化に関して先日アンケート調査を実施しました。その結果、GitHub Copilotからの提案の約30%が受け入れられており、業務時間に換算すると月間平均約11時間のコーディング業務が短縮され、その価値を改めて確認することができました。
■KAG Generative AI Lab設立の背景
ChatGPTの登場により、昨年ころより生成AIに関して飛躍的な発展が見受けられるようになり、当社ではこの影響はシステム開発・サービス開発の領域においても無視することのできない、今後破壊的なイノベーションを起こしうるものとして捉えてきました。
1ヶ月前の情報が役に立たなくなるような急速な変化の中で、それをキャッチアップし開発現場で実践的に用いるには、セキュリティなどの周辺情報も踏まえ、積極的な情報の獲得、技術的な実験などは必要不可欠なものとなりました。KAGでは社内の生成AIに関する理解の向上、技術力向上を目的とし、これらを短期的に集中して行うために 今年5月よりKAG Generative AI Labをつくり活動を進めてきました。
KAG Generative AI Lab の目的
社内の生成AIに関する理解の向上を推進する
社内の生成AI活用のための技術力の向上を推進する
KAG Generative AI Lab の主な活動
生成AIの理解
生成AIに関連するセキュリティや法律などの周辺情報の理解・知識獲得
生成AIの実践的な活用に関する技術情報の理解・知識獲得
生成AIを活用するための開発環境の整備
KAG Generative AI Labは当面は社内向け組織として活動し、KAGの生成AIに関連する知識・技術力を向上させることで、お客様に対する価値貢献へと繋げていきます。
■GitHub Copilotの活用とその成果
KAG Generative AI Labでは開発においてGitHub Copilotの導入を進めています。
GitHub Copilotとは、GitHubが提供しているAIによるコーディングツールです。
ユーザーはコメントやコードの一部を入力することで、AIからコードの提案を受け、まるでAIと一緒にペアプログラミングをしているような感覚でソースコードを実装することができます。
・GitHub Copilot 利用上のセキュリティについて
KAGではGitHub Copilot for Businessを利用することで、著作権・ライセンス侵害とプライベートな情報の流出リスクを考慮しています。
具体的には、Organization全体にパブリック コードに一致する候補をブロックする設定をポリシーとして管理することで著作権やライセンス侵害のリスクを低減しています。
さらに、GitHub Copilot for Businessでは、Copilotがコードを提案する際に必要なコンテキストとして収集したKAGのコードや、Copilotから提案されたコードの候補はGitHub側に保持されることはなく、Copilotの学習・改善に利用されることはありません。
5月から導入を進め、GitHub Copilot の活用により業務状況に変化があったかを確認するためアンケート調査をおこないましたので、その一部を公開します。
♢利用状況データからの読み解く提案の受け入れ状況
現在KAGにおけるGitHub Copilot利用状況としては以下のようになっています。
この中でAcceptance Ratesという欄がAIからのコード提案の受け入れ率を示しています。高いもので約42%、平均30%ほどの割合でAIからの提案を受け入れている状況となっています。
♢アンケートによる評価
下記項目でGitHub Copilotの利用者にアンケートを実施しました。(回答者数56人)
<アンケート項目>
Q1:1日あたりの削減時間と実装にかける時間比率を回答
Q2:以下7項目について「そう思わない」~「そう思う」の5段階で回答
Q2-a:自身の生産性が向上した
Q2-b:チームの生産性が向上した
Q2-c:コーディング作業時、より長い時間、集中を維持できるようになった
Q2-d:コーディング作業で発生する認知負荷やストレスが軽減された
Q2-e:反復的な作業(類似性の高いコードの記述、パターンに基づく実装など)にかかる時間が短縮された
Q2-f:コーディングに関連する作業(Web検索やコードリーディングなど)にかける時間が短縮された
Q2-g:一連の実装の完了までにかかる時間が短縮された
Q1の1日あたりの削減時間と実装にかける時間比率の回答から、1日あたりの平均削減時間は約34分となりました。1ヶ月(*)あたりに換算すると約11時間となります。(*営業日20日の場合)これは、KAGにおけるコーディング業務の平均稼働時間に対し、約38%の短縮に相当するという結果になりました。
また、Q2-a~Q2-gの7項目の定性的な設問の回答は下記のようになりました。ボジティブな回答が多く、GitHub Copilotの活用が現時点では有用であることが示されました。回答傾向から、公式ドキュメントの読み込みやAIによる機械的作業へのサポートにより、これまでより短時間で実働するコードの形に落とし込めるようになり、エンジニアは成果物が本来得たかった価値に貢献するものになっているかの評価など、より思考力や意思決定が必要な複雑な業務にフォーカスできるようになっていると捉えることができます。
♢効果検証のより詳しい情報
「KAG開発業務における生成AIの活用 ~KAGのGitHub Copilot活用状況・導入効果と今後の展望について語りたい!!!~」
https://developers.kddi.com/blog/70lix5UbfLU0k0AnJq5JzY
「GitHub Copilot が KAG 社エンジニアの開発効率に与えた影響」
https://developers.kddi.com/blog/JeaNGpkzrgQ83xN8jywwQ
■KAG Generative AI Labの今後展望
引き続き社内へGitHub Copilotを導入するとともに、エンジニアの能力拡張や生産性向上効果を定量的に計測し活用を促進していきます。
またGitHub Copilotだけではなく、生成AI全般の活用についても検討や実験を行っており、こちらについては今後その成果やプロトタイピングした成果物の報告なども随時行っていきます。
生成AIを活用し、これまで以上に素早く柔軟な開発を実現していくことで、最終的にはお客様とのシステム開発の中での価値提供へと繋げてまいります。
■KDDIアジャイル開発センター株式会社の概要
会社名:KDDIアジャイル開発センター株式会社
主な事業内容:アジャイル開発事業及び保守事業
設立年月日:2022年5月12日
本店所在地:東京都港区虎ノ門⼆丁目10番1号
代表取締役社長:木暮 圭一
Webサイト:https://kddi-agile.com