Steam Deck OLEDはHDR10対応のOLED搭載!従来機とも比較してみた
内部構造はより修理しやすい設計に
OLEDの薄型化以外にも、Steam Deck OLEDでは内部構造に変化がみられる。全体的な基板の構成やレイアウトは従来通りだが、個々の要素はLCD版とはどこかしら違った設計のものが採用されていて、さまざまなフィードバックを設計に採り入れたことが見てとれる。
Steam Deck LCDの内部:中央上に冷却ファン、その左のシルバーのシールドの下にメイン基板。左右にタッチパッドなどの制御基板+サムスティック基板を配置している
Steam Deck OLEDの内部:全体的な配置は同じだが、基板の形状やフレームの細かな形状に変化がみられる。左右の基板に繋がるフラットケーブルはシールドの上に張り付いているため、SSDの交換の際はこのコネクターを破損しないようケーブルを外す必要がある
メイン基板を覆うシールド板:LCD版(左)はそこかしこに分厚いサーマルパッドが入っているが、OLED版(右)にはない。固定のためのネジもOLED版では1本減っている
Steam Deck LCDのメイン基板:ヒートパイプの先にあるプレートの下にSoC、下部にSSDとワイヤレスモジュールが重なるように実装されている
Steam Deck OLEDのメイン基板:LCD版に比べパーツ点数が少なく、より洗練された印象を受ける。Steam Deck OLEDでもSSDは2230モジュールが採用されている。ワイヤレスモジュールは中国はQuectel社製のものが使われていた
Steam Deck OLEDではワイヤレスモジュールがWi-Fi 6Eに対応したことで、6GHz帯の電波が使える状況下では、ダウンロード速度が若干速くなる可能性がある。ただ残念なことに、5G等のモバイル通信機能は実装されなかった。ゆえにSteam Deck OLEDでもインターネットに繋ぐ場合は固定のネット回線+Wi-Fiルーター、もしくはスマホやモバイルルーターのテザリング接続が必要になる。
ヘッドフォンジャックの近くに新設されたワイヤレス用アンテナ。Wi-FiとBluetoothを同時に使う場合やドックに接続した場合の通信環境の改善が期待できる
裏面カバーは金型レベルで全く同じだが、Steam Deck OLEDではワイヤレスアンテナが上部に新設されたため小さなガスケット(矢印)が追加されている
Steam Deck OLEDではさまざまなパーツを固定するためのネジレベルでも改善が盛り込まれているのが面白い。ネジの本数や種類がSteam Deck LCDから減っているだけでなく、ネジの頭を普通のプラスからトルクス(T3)に変更して、より確実にトルクをかけられるようになった。
加えてSteam Deck LCDではネジの受け側がプラスチックな部分があった関係でネジがバカになりやすかったが、Steam Deck OLEDでは金属フレーム側に受けができた。分解を繰り返しても強度が落ちにくくなった点は嬉しい変更点だ。
さらに左右のバンパーボタンは落下などで衝撃を受けると内部の基板にもダメージが入りやすい設計だったが、実装方法を見直すことで修理性を向上させている。昨今のデジタルデバイスはとかく素人では修理不可な方向に進化しているが、Steam Deck OLEDはより修理しやすいよう進化しているのはValveならではと言うべきだろう。
Steam Deck LCDのネジ受け:灰色に見える金属製フレームにある穴(矢印)に裏面カバーを固定するネジが入るが、ネジの受けそのものは黒いプラスチックの部分にある。分解を繰り返すと次第にネジ穴がバカになってしまうのが欠点だった
Steam Deck OLEDのネジ受け:裏面カバーを固定するネジ受けが金属フレーム上にできたことで耐久性が向上。フレームを表面カバーに固定するネジを別途増設している
Steam Deck LCDのバンパーボタン付近:バンパーとトリガーボタンがタッチパッドや裏面ボタン制御基板を通じて固定されている関係で、バンパーボタンに強い衝撃が加わった時に基板まで巻き添えにする可能性があった
Steam Deck OLEDのバンパーボタン付近:ボタンモジュールは表面ケースに固定されるのでタッチパッド制御基板を傷める可能性は低くなった。バンパーボタンのスイッチがサムスティック基板と合体しているが、ここも基板形状を工夫することで衝撃を逃がすようになっている(そもそも落とすな、という話ではあるが)