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非膜オルガネラが細胞内で混じり合わない分子機構を解明=阪大

2023年11月09日 06時41分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学の研究チームは、脂質膜に覆われることなく細胞内で特定の分子群を集約している構造体「非膜オルガネラ」が互いに混じり合わずに、独立して存在するための分子メカニズムを解明した。非膜オルガネラは細胞内相分離と呼ばれる物理現象で形成されるが、膜構造を持たないにも関わらず、なぜお互いに混じり合うことなく、それぞれが固有の状態で機能を維持できるかはよく分かっていなかった。

大阪大学の研究チームは、脂質膜に覆われることなく細胞内で特定の分子群を集約している構造体「非膜オルガネラ」が互いに混じり合わずに、独立して存在するための分子メカニズムを解明した。非膜オルガネラは細胞内相分離と呼ばれる物理現象で形成されるが、膜構造を持たないにも関わらず、なぜお互いに混じり合うことなく、それぞれが固有の状態で機能を維持できるかはよく分かっていなかった。 研究チームは今回、人為的に作り出した変異型オルガネラを用いることで、世界に先駆けて、隣接する2つの非膜オルガネラの位置関係を解析することを可能にした。核内の非膜オルガネラの一種である「パラスペックル」と「核スペックル」をモデルとして、お互いが独立して存在するしくみを探求。その結果、パラスペックルのシェル(表面)を形成するタンパク質の組成が、非膜オルガネラ同士の融合と分離に関わり、オルガネラの独立性を調節していることを明らかにした。 今回の成果により、細胞内に多数存在する非膜オルガネラが独立して正しく機能を果たす分子基盤の理解が進み、様々な生理現象や疾患に関わる基盤的現象である細胞内相分離による細胞機能制御メカニズムの解明が進むことが期待される。研究論文は、英国科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology)」に、2023年11月6日付けでオンライン掲載された

(中條)

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