奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大)、大阪大学、愛媛大学、パリ=サクレー大学の研究グループは、人工知能(AI)を利用して、単純X線画像から骨密度を高い精度で計測する技術を開発した。骨密度の計測にはDXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)という専用装置が使われているが、大型で高価なことから、設置は大学病院などに限られている。
奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大)、大阪大学、愛媛大学、パリ=サクレー大学の研究グループは、人工知能(AI)を利用して、単純X線画像から骨密度を高い精度で計測する技術を開発した。骨密度の計測にはDXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)という専用装置が使われているが、大型で高価なことから、設置は大学病院などに限られている。 研究グループは315名の患者から収集したX線画像(2次元)とCT画像(3次元)のペアのデータを基にCT画像から筋肉や骨格を自動的に認識するAI技術を、CT画像とX線画像を重ね合わせて表示する技術を組み合わせた。この手法によって、X線画像から、骨や筋肉、内臓を単独で映した仮想X線画像を生成できる。このうち、骨だけを写した画像を調べることで、DXAやCTによる計測とほぼ同等の精度で骨密度を計測できるという。 X線画像は小規模なクリニックや移動検診車でも撮影でき、1〜2分程度で撮影できることから、骨粗しょう症の診断や、骨粗しょう症の薬物治療の効果の判定にかかるコストを大幅に削減できるとしている。 研究成果は9月15日、メディカル・イメージ・アナリシス(Medical Image Analysis)誌にオンライン掲載された。研究グループは、製品化、薬事申請、保険収載に向けた手続きを進めており、1年以内に販売を目指すという。(笹田)