このページの本文へ

最新パーツ性能チェック 第428回

ベンチで知る“第14世代”、Core i9-14900K/Core i7-14700K/Core i5-14600Kは何が変わった?

2023年10月17日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

第14世代のみに解放された新機能

 ハードの仕様的には新鮮味がなく、非常に残念な第14世代だが、第14世代のみに実装されている機能もある。それが「Intel Application Performance Optimization」(以下、APO)であり、インテルによればゲームのパフォーマンス(フレームレート)を大きく改善する機能となる。

 第12世代以降、インテルはPコアとEコアを処理によって使い分けるハイブリッドデザインを採用しているが、この要となるのが「Intel Thread Director」(以下、ITD)だ。これを利用することでバックグラウンドの処理はEコアへ、性能が必要な処理はPコアへと振り分けることで処理の効率を向上させるのが狙いである。

 だがゲームによってはITDで振り分けが上手くいかないもの、つまりPコアもEコアも均等に使ってしまうタイプのものがある。こういったゲームでもゲームの処理をPコアに振り分けるように指示するのがAPOである。ゲームによっては、ゲームの処理を強制的にPコアに振り分ける(thread affinity)とフレームレートが改善する場合があることは知られているが、APOはこれを自動的に実施する機能と考えられる。

 さらに言えば、現時点でPコアとEコアの振り分けが十分にできているゲームは、APOの効果はあまり期待できないという推測も導き出せる。

 APOを利用するにはまずBIOS上で「Intel Dynamic Tuning Technology」(以下、DTT)を有効化し、さらにWinodws上でDTTドライバーを導入するという2つの手順が必要になる。ゲーム側がAPOに対応している必要はないが、APOが介入しても動作すると確認され、ドライバーのホワイトリストに追加されたたゲームのみがAPOの恩恵を受けられるという制約がある。そのため、APOが効くゲームは現時点では「Rainbow Six Siege」と「Metro Exodus」の2本のみとなっている。自分の遊びたいゲームがAPO対応に追加されたのを確認してから乗り換えるのも悪くはない選択だ。

APOの設定①:最新BIOSを搭載したマザーボード(ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」)のBIOSメニュー中に「Thermal Configuration」という項目が出現

APOの設定②:Thermal Configurationに入り、DTTをEnabledにするとこのようなメニューが出現。各項目がどういった意味を持つのかについては、残念ながら有効な情報を得られていない

APOの設定④:Windows上に戻りデバイスマネージャーを開くと、DTTを有効にする前には存在しなかった不明なデバイスが出現する。これを介してCPUとAPOがやりとりをすると思われる

APOの設定⑤:有効化したら「Intel Dynamic Tuning Driver」を導入する(赤線部)。今回の検証時点ではマザーボードのドライバーDLページでは入手できず、自動インストールツール(「Armoury Crate」のこと)経由でのみ導入できた

APOの設定⑥:DTTのドライバーが導入されると、デバイスマネージャーにIntel Dynamic Tuning Technology関連のデバイスが出現する

Metro Exodus(最低画質、1920×1080ドット)でAPOを使わない(デフォルト)設定時の様子。左側にあるCPU 1〜CPU 24までが物理コアで、その横の数値がコアの占有率とクロックとなる(PコアはSMT対応なので占有率も2つ)。APOを使わないとPコアもEコアも均等に使われてしまう様が示されている

APOを有効化すると、Eコアの負荷がほぼゼロになり、Pコアも論理コア側はほぼ使われず物理コア側に負荷がしっかりと偏った。パフォーマンスの出るPコアのおいしい部分だけを使うように調整されたのである。左上のフレームレート表示も大きく向上している点に注目

 もう1つ、特にOCで性能を引き出したい人向けの機能も追加された。インテル純正のOCツール「Extreme Tuning Utility(XTU)」のバージョン「7.13.0.38」以降に実装されるAIを利用した自動OC機能「AI Assist」がそれだ。インテルがCPUをOCした際の挙動をAIに学習させることで、最適な設定を手軽に見つけられる……というのが売りだ。

 ただ現時点のAI AssistはCore i9-14900Kおよび14900KFのみしか対応しない。単純に学習がまだ追い付いていないだけの話だが、Core i7-14700KやCore i5-14600Kにいつ解放されるのかは明らかにされていない。

マザーボードもリフレッシュしたが……

 さて、今回のCPUに合わせ、さまざまなマザーボードメーカーからZ790チップセット搭載マザーボードが登場しているが、特にチップセットに設計変更が入ったわけではない。今回登場した製品は次世代無線LAN規格“IEEE 802.11be”、即ち「Wi-Fi 7」への対応が主であり、デザインや設計に最新の知見や取り組みが盛り込まれているだけ、と考えて良い。つまり今まで使っていたZ690やZ790チップセット搭載マザーボードであれば問題なく利用できる(BIOS更新はやっておこう)。肝心のWi-Fi 7に関しても、日本では現行法環境の問題で320MHz帯の電波が使えない(BIOSレベルでロック)ため、今すぐ手に入れてもメリットは活かせない。

既存のZ690やZ790マザーを使うのであれば、BIOS更新はしておこう。今回の検証に使用したマザーボードも、今年6月に入ってから「next-gen Intel Processors」対応を謳うBIOSがリリースされている。まずはこれにアップデートしておきたい

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ピックアップ

ASCII.jpメール アキバマガジン

ASCII.jp RSS2.0 配信中