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「Dospara plus Synapse 2023」レポート

PC業界をになうメーカーが考える、AI戦略の今後とは?

2023年10月13日 09時00分更新

文● 佐藤ポン 編集●八尋/ASCII

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NVIDIAのデジタルツイン活用事例

 セミナーの後半は、Nvidiaのサービスを活用している事例の紹介。いくつかの企業が紹介された。1つめは広告代理店「WPP」だ。

 企業の広告を制作している同社は、ある自動車のコマーシャル映像にNVIDIAのAI技術を活用している。具体的には、主役の製品(自動車)以外の背景や小物、HDRIは、AIで生成したそうだ。従来人間が制作していたプロップをAIに作らせることで、効率的に映像を制作している。

 2つめに紹介されたのは、「Amazon Robotics」の事例。Amazonの物流センター内で動いている自律走行ロボットの学習データ収集に、NVIDIAの技術が使われているそうだ。

 ロボットの学習データを収集するには、工場内を何度も走行させる必要がある。当然、それを実現するには工場が完成していなければならない……。そこで登場するのがNVIDIAの「Omniverse」だ。工場が完成していなくても、Omniverse上に3Dでバーチャル工場を作ってしまえば、ロボットの学習データを取得できる。こうすることで、工場が建設完了したと同時に自律走行ロボットを走らせられるわけだ。時間とコストを大幅に節約できた事例だ。

 最後に、台湾のエレクトロニクス企業「PEGATRON」の事例。こちらもAmazon Roboticsと同様にデジタルツインを活用したが、それだけではない。なんと、不良品のデータをAIで生成し、学習させたそうだ。実際には発生頻度が低い不良品をAIで生成し、そのデータを学習させる。これによって、外観検査の認識精度が80数%から98%近くまで向上したそうだ。

 高橋氏は「デジタルツインとAIは、現実空間では取得しにくいデータや、危険が伴うデータ、カメラで撮影しにくいデータを扱う際に威力を発揮する」と語った。

AI処理でパフォーマンスを発揮する「RTX 6000 Ada Generation」

 公演の最後は、NVIDIA RTX GPUシリーズの紹介。会場のスクリーンに製品ラインナップを映し出した高橋氏は、「最新のアーキテクチャーではAIコアの性能が上がっている。ミッドレンジ以上のGPUは、AI業務でも活用できる」と解説。

 LLM(大規模言語モデル)のような大規模な処理はサーバーで行うのが効率的だが、小規模な処理はRTX世代のGPUが有効とのこと。最新GPUである「NVIDIA RTX 6000 Ada」のベンチマーク結果を紹介して公演を終えた。

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