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成功の要因は「設計と定着」に有り

コロナ禍で過去最高売上を達成!Salesforceでデータドリブン営業を実現したタカラスタンダード

2023年10月17日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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複雑な商流におけるデータ管理はシステム設計で解決

 システムの設計に関しては、Salesforce側には商談の見込データ、基幹システム側には実績データと、それぞれにおさめられる情報の粒度が異なるという課題があった。そこで、Salesforceと基幹システムをつなぐ変換マスタを作成、BIにおいて結合することで予実のデータを管理できるようにした。

 もう一つの課題は複雑な商流だ。タカラスタンダードの場合、ショールーム運用の関係で、代理店だけではなく顧客(施主)や販売店、工務店の情報も管理する必要があり、これらをいかに標準項目で扱うかもポイントとなった。

 解決策として、取引先と顧客の2つのレコードタイプを作成、さらには商流マスタを用意し、商談に対してすべての商流を結びつけて管理する構造をとった。これにより、代理店だけではなく販売店や工務店のレベルでも、売上やショールームの来場情報、失注などが可視化できるようになり、データドリブン営業に寄与することになった。

複雑な商流においても取引先、顧客まとめて管理

定着は経営層から、改修のためのリソース確保もポイントに

 業務フローやシステムの設計とあわせて注力したのが定着である。プロジェクトの初期の段階から定着活動に取り組んでいたが、段階的な機能リリースをしていたため社員がついてこれず、プロジェクトの進捗に応じて担当者も減り、定着はなかなか上手くいかなかったと、新實氏は振り返る。

 そんな綱渡りな定着活動の中でも、終始注力した活動が2つあるという。

 1つ目は、上層部の変化を促すことだ。本社の経営層や管理職がSalesforceを活用しないと、営業担当は更新しない。そこで経営層は全社会議で必ずデータで指摘する形とし、支店長・営業所長はエクセルでのデータ集約を廃止した。新實氏は、代替となるレポートを100本ほど作成したとのことだ。「まずは経営層、管理職に働きかけ、一般課員への利用浸透は次のステップ」と新實氏はいう。

 2つ目は、内製化が難しかったのを、改修のための体制を作ってカバーしたことだ。さらに、事業部門主体で要望精査、検討を行なうことでスピードを上げた。その成果もあり、2022年度では改修箇所は100件以上にのぼった。Salesforceにおいては、導入後の“素早い改修”は必須であり、内製化ができないのなら、外部協力会社と定着人員を織り込むことがポイントだという。

定着のために、経営層、管理職から変える

Salesforceって、導入したら本当に売上が伸びるの?

 新實氏は自身で呈した「Salesforceって、導入したら本当に売上が伸びるの?」という疑問に対して、「結局はうまく設計して、しっかりと定着させることができ、営業を改革ができた結果として売上は伸びる。そしてSalesforceはそれが最短で実行しやすいプラットフォーム」と答える。

上手く営業を改革ができた結果、売上が伸びる

 プレゼンテーションの最後に、自社の営業担当・アドバイザーに対して「SFUG CUPに出場した理由は、今のタカラスタンダードの営業改革は間違っていないという客観的指標が欲しかったから。DXは推進する人間にフォーカスがあたりがちだが、実業務において一番大変なのはある日変革を迫られるユーザー。胸を張って改革に取り組んでください」と締めくくった。

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