『龍が如く7外伝 名を消した男』と『龍が如く8』は2作で1つという想いで制作
『龍が如く8』開発者インタビュー。意味深カットの由来は? 人気キャラ再登場はどうなる?【TGS2023】
豊富なミニゲームを用意。試遊で物議をかもした「不審者スナップ」とは何だったのか?
――続いて、試遊範囲にもあったミニゲームについていくつかお伺いしたく思います。「クレイジーデリバリー」はハワイの新マップを自転車で走り回るアクティビティですが、どのような経緯で実装されたのでしょうか?
堀井:新しいミニゲームを考えようという段階で、主な舞台がハワイであることは決まっていたんです。ハワイはとにかく道が広くて、空というか天井も高いので、レース系はやりやすいだろうな、というところから詳細を詰めていきました。
あとは、当時はコロナ禍などの影響もあって、食品のデリバリーサービスが流行していました。うちのアルバイトのスタッフがちょうど元配達員だったりもして、話を聞いてみると「これはゲームになりそうだね」と(笑)。結果的には上手くアジャストしたのではないかと思います。
――実際にプレイしてみると、配達の合間にトリックを決めたり、「スペシャルジャンプ」が可能なスポットを探したり、車や工事中の作業員を避けたりと、なかなか忙しく歯ごたえのある印象です。高得点を稼ぐコツなどはあるのでしょうか。
堀井:基本的には3分間という時間で、いかにスコアを稼ぐかが大事になってきます。スペシャルジャンプなど、得点を稼ぎやすいスポットが複数あるので、基本的にはこちらを探していただきつつ配達をこなすことになりますね。難易度が上ると邪魔が増えたりもするので、そういったところで面白みを出しています。
――続いては、「不審者スナップ」についてなんですが……。
堀井:あれは……元々、トロリー(バス)ありきでスタートしています。ハワイはマップが広いですし、実際にトロリーがたくさん走っていますから、これを配置していろいろなところに行けるようにしたんです。
ただ、乗っている間は風景を見ているだけなので、もうちょっと面白みを足したいねと。「乗りながらなんか写真でも撮ってみるか!」というところからアイディアが始まっています。でそこで何を撮りましょうね、という話になって……。
――そこから不審者に繋がるんですか……?
堀井:パッと見で、「あ! あんなところにいたぞ!」というものがいいね、という話になりまして……じゃあちょっと不審者でも置いてみるかと。
――実際にプレイしてみると、不審者の現れ方がかなり独特で、思ったよりなんというか……何かの影響を感じました。「スジモン」だけじゃ満足できなかったのかなと……。
堀井:まあでも、不審者を置いて撮ってるだけなので。
阪本:一番びっくりしてるのは、TGSで初めて体験版を置いてみたら、あのモードに「不審者スナップ」っていう名前が付けられてたことですよ。いや、何も間違ってはいないんですけど、結構、衝撃を受けました。本当にこの名前で行ったな、みんな「不審者スナップ」と言っているぞ、と……(笑)。ヤバいですよ、「不審者スナップ」という言葉自体。
堀井:不審者をいっぱい撮るとポイントがもらえて、強い武器がゲットできます。ぜひたくさん撮っていただければ。
横山:何をやっているんだろうと思いますよね、ハワイまで来て。「俺は残された余生を……(声真似)」。
阪本:不審者スナップで時間を潰してる(笑)。
過去作の人気キャラクター再登場も。出演陣は「すごい豪華」
――あらためて、本作の登場キャラクターについてお聞かせください。『7』のパーティメンバーだったナンバや足立が本作でも登場することが発表され、ほっとした、安心したといったファンの方の声もあるようです。
『7』で大きな役割を果たした沢城丈に関しても、発表時にX(旧Twitter)のトレンドに登場するなど、大きな反響がありました。
横山:そうなんですね。僕としてはいくらでも出しようはあると思っているんですけど、そんなにビックリかなと。だってもう、「龍が如く」はずっと、続編は後付けなので。先に考えて作れるわけがないんですよ。我々はもう、ウルトラCで繋げていくのに慣れていますから(笑)。
僕ら的にはそこに意外性はないんです。沢城のカシラが話題になるなんて思っていませんでしたね。
――それだけ印象的だったんだと思います。もう出て来ないだろうな、と思うような展開でしたから……。
横山:開発しているときは、そこで終わる気でいつも作っているんですよね。あとはナンバや足立ですが、『8』でも春日一番の物語を描いていく以上、地続きだと彼らはやはりいるんですよ、横浜に。よくあるパターンだと、転校してしまったとか、死んでしまったとか……。
堀井:海外に行ったとか。
横山:海外に行ったはよくありますね。まあ今回海外舞台なんですけど(笑)。正直、僕らとしては彼らを出さないという選択肢はなく、普通にいる前提で作っていました。
僕らはあまり「誰を出そう、出したい」という物語の作り方はしていなくて、ストーリー上に登場するであろう人物を並べている感覚に近いです。ですからさっきも言った“たまたま13人いた”といった様な状況になります。
堀井:「パーティメンバーは全部で何人」の様なものも、最初に決めていないですからね。
横山:そうなんですよ。結果的にこれ(本作のポスターを指さしながら)になるわけですよ。「何人だっけ?」みたいなこと言いながら……。確認のときにちょっと間違えてました、1回。
阪本:仲間が8人だから「9人です」って言ったんですけど、今回は主人公が2人いることを忘れていて(笑)。
――物語上の必然性というか、出てくるだろうなというキャラクターが登場しているということなんですね。キャラクターの登場に関してはもうひとつ、バトル中に召喚できる「デリバリーヘルプ」でも、過去作の主要キャラクターだった狭山薫、秋山駿といったキャラクターが登場するということに驚きました。
『7』のデリバリーヘルプで呼び出しが解禁されるキャラクターは、大なり小なり物語に絡んでくる場合がほとんどだったと記憶していますが、今回も期待していいのでしょうか。
横山:絡むのではないでしょうか。たぶんメインストーリーではないと思いますけど、何かあるのではないかと思います。
――がぜん楽しみになってきました。
横山:もうちょっと煽っていただいてもいいですよ(笑)。意外とそっちにスポットが当たらなくて、「あれ?」と思っていまして、僕は。「秋山がいるとか豪華だ!」と言えよ! みたいな(笑)。ああいう人たちを出すより、1作前の沢城のカシラが出てくる方が全然イージーなんですよ!
――(笑)。
横山:すごく豪華なんです、今回は。いわゆる中の人……出演陣もそうですし。これだけ長くシリーズをやってくると、演じたキャラクターに愛着を持ってくださる方も多いんです。
作品のノリとしては、一種の同窓会のような雰囲気になっています。ナンバを演じているヤスケン(安田顕)さんもそうですけど、「また来たね!」という感じで(笑)。ぜひ楽しみにしてください。
――あとは、メインキャラクター以外もトレーラーには気になるものがたくさん映っていましたね。巨大なサメやイカは……戦うことになるんでしょうか。
阪本:もちろんです。過去、桐生はサメとは戦ったことがあるのですが、今回はパーティを組んで違う形でバトルすることになりますね。『7』でも重機と戦うようなバトルはありましたし、あのぐらいの規模のバトルは結構あります。
堀井:強いですよ、サメ。イカも強いです。
――どんなシチュエーションでの戦闘になるか楽しみです(笑)。最後に楽しみに待っているユーザーの方、ファンの方にメッセージをお願いします。
堀井:『龍が如く7外伝 名を消した男』『龍が如く8』という2作を連続して出すことになりましたが、両方ともスタジオ最新作にして最高傑作と言える出来になっています。
『7外伝』は「桐生一馬のアクションはこれだよ!」という、スタジオの代名詞とも言えるアクションでやれることを全部やりきったタイトルです。そして『8』に関しては、「これ以上のエンタメはないな」と作り手の側も思えるようなものに仕上がったのではないかと思います。
トレーラーを見てワクワクしてくださった方もいっぱいいらっしゃると思いますが、あれは面白さの一部を引っ張り出したもので、本編はもっと面白いです。続けてプレイすることでより深く感情移入できたり、面白く遊べたりすると思いますので、ぜひ年末年始に楽しんでいただければ嬉しいです。
阪本:短い期間で2つのタイトルを出すのは初めての試みなのですが、仕込み自体はすごく長い時間をかけてやっているんですよね。
コロナ禍の中でハワイを舞台にしたゲームを作ることもそうですが、いろいろな苦労を乗り越えてゲームのボリューム、ドラマの質を上げてきました。耐えて、我慢して作り続けてきて、最後には本当にいいものが作れたということで、やった甲斐があったなと感じています。
この2タイトルは物語もそうですが、「龍が如く」シリーズのこれからの展開であったりとか、すべてに繋がっていたりするので、ジャンルは違えど、どちらも遊んでいただきたいですね。
横山:作っている感覚としては、『7外伝』も『8』もこれまで作ってきたゲームの延長線上にあるものですし、当然同じものではあるのですが、僕はなんとなく今までとは違うものを作っている感覚になっていまして。
シリーズの積み重ねの話はしましたが、プレイしてくださるユーザーの方も、物語の予備知識があった方が面白いに決まってるわけですよ。そこを徹底してケアしながら過去のシリーズを作ってはきたのですが、その“徹底したケア”を外部で、1本のゲームとして作るということは流石にやったことがなくて。
『7外伝』はそういう作品なんです。別に『8』の過去回想とかで語ってもいいわけですよね、桐生が。3年間何してたんだということを、サバイバー(注:作中のカラオケバー)でお酒でも飲みながら40分ぐらいかけて一番に語ってもいい(笑)。
それをせずに、1個のゲームとして出すことを『8』の開発中に決断して、『8』より先にリリースするという荒行をやっているわけです。そういう意味で『7外伝』は非常にチャレンジャブルな作品になっています。
『8』は『8』で、僕らが今作れるものをしっかりと作っています。もちろん好きに楽しんでいただければいいんですけど、今回出すのは2作で1つの作品という気持ちもあるので、こと桐生という人間を見るのであれば『7外伝』と『8』をやって欲しいですし、春日一番の物語を楽しみたいのであれば『7』『8』とやってもらってもいいのかなと思います。
――本日はありがとうございました。
『龍が如く8』は2024年1月26日、前日譚となる桐生一馬の3年間を描いた『龍が如く7外伝 名を消した男』は11月9日に発売となる。過去シリーズの集大成とも言える2作品ということで、リリースを待ちたいところだ。
【ゲーム情報】
タイトル:龍が如く8
ジャンル:ドラマティックRPG
販売:セガ
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Windows/Steam)
発売日:2024年1月26日予定
価格:
スタンダード・エディション:9680円
デラックス・エディション:1万780円
アルティメット・エディション:1万2760円
CERO:D(17歳以上対象)
タイトル:龍が如く7外伝 名を消した男
ジャンル:アクションアドベンチャー
販売:セガ
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Windows/Steam)
※Xbox/PC版はダウンロード版のみ。
発売日:2023年11月9日予定
価格:5940円(パッケージ版/ダウンロード版)
CERO:D(17歳以上対象)
©SEGA
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