Quest 2よりも解像度が30%向上!
6つの高精細カラーカメラでMRにも対応
Metaは最新のXRヘッドセット「Meta Quest 3」(Quest 3)を発表した。「Meta Quest 3」はQualcomm「Snapdragon XR2 Gen 2」を採用。RAMは8GB。片眼2064×2208ドットの2つのディスプレーと、MetaのInfinite Display光学スタックの組み合わせにより、Meta Quest 2と比較して解像度が30%向上。リフレッシュレートは90Hz、120Hz(試験中)。
音の明瞭度と低音域も強化され、再生音域の音量がMeta Quest 2比で40%増え、より高い没入感が得られるとしている。3.5mmヘッドフォンジャックも備える。日本での予約開始は2023年9月28日で、発売は2023年10月10日となっている。価格はストレージが128GBのモデルが7万4800円、512GBモデルが9万6800円。
Quest 3のサイズは、160(W)×184(L)×98(H)mmと、新しいパンケーキレンズを採用により、145(W)×185(L)×103(H)mmだったQuest 2よりもヘッドセット部が40%スリムになった。重量は515gとあまり変わらないが、頭を支えるソフトストラップの背面がY字型になって、より重量を分散できるようにしたり、ヘッドセットの形状がスリムになったりしたことで、頭部にかかる重量バランスが改善している。
また、レンジ距離調整ホイールも備える。IPD(瞳孔間距離)の調整幅は53~75mm。 前述したように解像度も上がっている他、Quest 2よりも約15%広い水平110度、垂直96度という視野角を持つ。
ヘッドセット部には6つのカメラセンサーを搭載し、高解像度のカラー映像を出力でき、これまで以上に高精細な実際の外の映像をQuest 3を被りながら体験し、MRタイトルが楽しめる。6DoFのインサイドアウトのトラッキングに対応。
Touch Plusコントローラーは、従来のコントローラーに備わっていたトラッキングリングがなくなり、よりスマートに。重量は単三電池1本を含めて126g。ちなみにバッテリー駆動時間は平均2.2時間となっている。
また、ダイヤルを回すだけで頭部にフィットする「Meta Quest 3 Eliteストラップ」(1万450円)や、汗や汚れを簡単に拭き取れる「Meta Quest 3シリコン接顔部」(5940円)、あらゆる手のサイズにフィットする「Meta Questアクティブストラップ」(5940円)などアクセサリー類も充実。
前述した以外にも度付きレンズや充電ドック、PCと接続するための「Meta Quest Linkケーブル」など、数多くのアクセサリーも展開する。
事前のメディアブリーフィングには、Product Marketing Manager, Meta Quest 3のPalwasha Khatri氏が本製品の概要を説明。VR開発者はこれまでニッチだったが、現在は20億ドル以上の予算が費やされている。今後MRは飛躍するだろうとコメントした。
また、Meta Reality Labs ストラテジックコンテンツパブリッシング 日本・韓国市場統括 池田 亮氏が製品のより詳しい説明を行なった。Quest 3ではこれまでストアに提供されてきた500以上のVRタイトルが利用できるとしている。もちろん、それ以外に自分の持っている2D映像などもシアターモードで楽しめる。
さらに池田氏によると、2023年10月末にはビジネス向けのサブスクリプションサービス「Meta Quest for Businnes」がローンチ予定。本サービスは、ユーザーデバイス、アプリの管理、企業サポートを含むもの。担当者が安全かつシームレスにQuestデバイスにアクセスでき、ビジネス上で活用する方法を提案するとしている。
加えて、年末までに50以上の新規タイトルが登場、さらに50以上の既存のタイトルがアップデートを予定しているという。そのうち半数がMRにも対応する。VRはもちろん、MRもさまざまな可能性を感じることができる素晴らしいラインアップだとコメントした。
自動で境界線が範囲指定できて利便性も向上
メディアブリーフィングでは、実際にQuest 3を先行で体験もできた。Quest 2までは、プレイエリアを作るのにコントローラーを使い、自分で範囲を設定する必要があった。しかし、Quest 3では高度なセンサーにより、床や壁、天井までが自動で認識する。そのため、画面の指示に従ってセットアップを進めて、プレイエリアは歩くだけで自動で設定される。ちなみに、スキャンできる範囲は最大で5mとのこと。
ただし、障害物などがある場合、壁の一部が上手く認識できないことがある。会場では説明員が近くに立っていた影響もあり、一部壁が作られなかったが、それも既に作られた壁からその先までをコントローラーで指定することで、簡単に壁を指定できた。
また、以前はボタンを押すことで外部のカメラ映像と、VRを切り替えできたが、本機ではヘッドセット部をトントンと軽く2回叩くだけで映像が切り替わった。わざわざボタンの位置を指で探る必要がなくなったという訳だ。
セットアップ終了後には、MRを体験するチュートリアルゲームとなる「First Encounters」を試した。壁に亀裂が入って、そこから2つ目があるマリモのような球体が飛び出す。そのマリモを銃で撃つなどができる。
まさにMRゲームでは、この自分がいつも暮らしている部屋がゲームの舞台になる、ということが新しい体験となる。
次に体験したのは、Hit-Pointが配信しているスマートフォン向けゲーム『ねこあつめ』のバーチャル版『Neko Atsume Purrfect』。『ねこあつめ』は、家の庭先に猫を集めるための餌やグッズを用意し、猫がお礼に置いていくグッズを収集して庭先を拡張していくゲーム。
『Neko Atsume Purrfect』でも、バーチャルタブレットで餌を選択して与えたり、ボールを配置して猫が遊んでいるのを見たりができる。また、猫を抱きかけることも可能だ。『ねこあつめ』のゲームの世界を3D空間で楽しむVR以外に、MRに切り替えて自分の部屋に猫ドアを付けて、猫を自分の部屋に呼び込むこともできる。ペットを実際に飼っていない人でも癒しが得られるコンテンツになっている。
©Hit-Point Co.,Ltd.
次にディストピア的な冷戦を舞台にしたアドベンチャー作品『Red Matter』の続編『Red Matter 2』の体験版をプレイ。サイバーな空間を移動して、ケーブルを接続して施設を復旧して先に進む。
短い体験だったため、体験的には特に驚きはなかったが、注目すべきはその映像美。従来のMeta Quest 2の時も十分高画質だったが、色の濃淡に加え、鮮明さが増し、ガラスの擦り切れ方や、曇り模様などが、よりリアルに表現されていた。
最後に体験した『BAM!』は、目の前に浮遊したジオラマのような卓上アリーナで戦う、4人オンラインマルチプレイのMRゲーム。現実世界にバトルアリーナが表示され、そのアリーナ―内にタイヤやキャタピラで走行するキャラクターを操り、1つの王冠を奪い合う。
タイムアップ時に王冠を持っていた人が勝ちというパーティーゲームになっているのだが、中央にジャンプ台を使わないと届かない高い台があり、そこに王冠を持って居座って、敵が来たら逃げるという戦法が割と有効だった。
王冠を持っている1人を残りの3人で狙うのだが、王冠を持っている人だけを狙うか、最初は協力して王冠を保持し続けるなど、シンプルながら戦略もあり、友人や家族とワイワイ楽しめるパーティーゲームになっていた。
この、テレビのような平面ではなく、卓上を囲ってプレイするボードゲームのような、人とのコミュニケーションを取り遊べるのもMRゲームの魅力とも思えた。
MRタイトルの拡充にも期待
Meta Quest 3は、従来機と異なり、外部カメラがカラーになったことで、競合のVIVE XR EliteのようなMRタイトルが快適に遊べるようになっている。ややコンパクトになり、装着性も上がっているが、やはりなんといってもMRタイトルが遊べるようになったところは大きい。
しかしながら、国内ユーザーが本機を購入するに至るほどのタイトルがなければ、購入のきっかけにならない。MRタイトルも今後増えていくとのことなので、注目を集めて、面白いMRタイトルが登場して、盛り上がりを見せることに期待したい。
ちなみに、Meta Quest 3は、従来機と同じくPC接続が可能なAir LinkとQuest Linkにも対応している。PC推奨スペックは、従来と変わらないとのことなので、VRが動作するPCを持っている人は、PCVR用ゲームも快適にプレイできるようだ。